9 ページ10
side貴方
いきなり男の人に攫われて、連れて来られたのはどこかの廃墟。
中には数人人がいて、皆すごくこっちを見てる。
私はと言うと、黒髪オールバックの男の人の前に降ろされて、私を攫った人とオールバックの人が話してるのをただ黙って聞いている。
………で、私何で連れてこられたの?
近くに来た金髪の男の人が察してくれたのか、オールバックの人に言ってくれた。
「団長、この子困ってるよ。
もしかして、自分が連れて来られた理由、分かってないんじゃない?」
「…?お前、俺たちの事覚えてないのか」
え、私の知ってる人?
少なくとも私の知ってる人には、いきなり人を拉致するような人はいないぞ。
「知りませんけど…。どこかで会いましたか?」
「覚えてないのか。つい数日前、会ったんだが」
数日前……?
私最近何してたっけ。
必死に頭を回転させて考えるけど、やはり分からない。
「すみません、覚えてないです……」
「そうか。ある屋敷で会ったんだが、まああの時は空も暗かったし、顔までは見えていなかったか」
屋敷…?
そこでふとある事を思い出す。
数日前にあるお願いをされて大きな屋敷に盗みに入った。
その時に家主の近くにいた人たちだ。
「その顔はどうやら思い出したようだな。では、連れて来られた理由も分かるな?」
「指輪……ですか?」
盗みに入った屋敷で厳重に保管されていたダイヤモンドの指輪。
あの時の様子から察するに彼等は盗賊だろう。
その指輪を盗みに来たのに、先に私が盗ってしまったから、ずっと私を探していた…と。
そんなところかな。
「ああ。指輪はどこにある?」
やっぱり。
でも、残念。もう私の元に指輪はない。
「残念ですが、もう私の元に指輪はありません」
「ならば、どこにいった」
「それを教えたら、あなた達は盗みに行くでしょう?
教えることは出来ません」
そうはっきりと告げる。
そう、あの指輪は他の人に渡す訳にはいかない。
大切なものだ。
「…そうか。フェイタン」
オールバックの人が横にいた男の人に指示を出すと、男の人は私の腕を掴み、羽交い締めにしてきた。
「これでも吐く気はないか?」
目の前のオールバックの人は余裕の笑みを浮かべている。
まるで、痛い思いをしたくなければ吐けとでも言うように。
それでも……。
「言いません」
私の決意は揺るがなかった。
404人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明里香(プロフ) - 34話にも誤字がありました。「準備をしなくてわ」ではなく、「準備をしなくては」です。 (2020年8月4日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 25話にも誤字がありました。「等の本人」ではなく、「当の本人」です。 (2020年8月4日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 19話にも誤字がありました。「以外と」ではなく、「意外と」です。 (2020年8月4日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 15話に誤字がありました。「近ずくな」ではなく、「近づくな」です。 (2020年8月4日 21時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
†NANA†(プロフ) - ページ10で、「中には数人人がいて」ではなく「中には数人の人がいて」だと思います。 (2018年6月1日 6時) (レス) id: 288d462176 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かっぱの子 | 作成日時:2017年4月6日 22時