28.呪い ページ28
凄まじい音と共に、私と縁談相手、そして飛び込んで来た使用人さんは倒れ込んだ。
「っ、A様…!」
〈お怪我は…お顔は大丈夫そう、でも体は…?呪力を感じたから、もしかすると目には見えないところに何か…この縁談相手は、A様に何を…!〉
一族は人の思念を読むことができる。
雑念を周りに知らしめて不快にさせることを防ぐため、このお屋敷で呪力を持つものは、思念を聞かれないよう脳を守らなければいけない。
そんな掟を忘れてまで、使用人の彼女は私の身を心配してくれた。
一方で私の体は、なんの攻撃も受けていない。
恐らく身を挺して私を庇ってくれた彼女のお蔭、だけではなく。
「…何故だ?なんで僕の“術式”が弾かれて…」
人も呪霊も自分の所有物にしてしまう“術式”を持つ彼が青褪めて言う。
そんな彼の方を向き、恐怖からか震えている使用人さんの手を握りながら私は言った。
『生憎ですが、私はもう他の方から呪われてしまっているんです』
あの日、狗巻くんと呪いを掛け合った。
“ずっと一緒にいて”と掛けた呪いが、私の身を守ってくれた。
「…お相手は?」
腰を抜かしたままの彼に、私は笑顔で答える。
『呪言師の末裔です』
「…僕に勝ち目はないな」
呟いて彼が笑ったとき、騒ぎを聞いた祖母や親族が部屋に入ってきた。
「一体何の音!?」
私達の様子を見て叫ぶ祖母に、彼は姿勢を正して向き直る。
「双方の意思により、この縁談はお断りさせていただきます」
彼の言葉に祖母や親族はもちろん、私まで目を丸くした。
唖然とする一同を置いて、彼は立ち去る。
「…A、どういうことですか」
顔を顰めて詰め寄る祖母に、私は笑顔で言った。
「彼の仰ったように、双方の意思、です」
__“文句は言えないでしょう?”
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saki - 棘くんの呪いが出てくるとは…!伏線回収(で合ってるかわかんないですが)素晴らしすぎます!神作品ありがとうございます! (11月4日 23時) (レス) @page31 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
白狼(プロフ) - 続きが凄い気になる。ネタを考えるのと投稿頑張ってください!応援してます! (2022年4月4日 0時) (レス) id: 62f0033d85 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - ネイジェさん» コメントありがとうございます‼︎上手くお話がまとまらず苦戦していますが、楽しんでいただければ嬉しいです*これからもよろしくお願いします* (2022年1月19日 16時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 続き、続きが気になる・・・!とっても私の好みな作品です!神ですか!?神なんですか!?更新頑張って下さい!応援してます!!! (2022年1月18日 14時) (レス) @page29 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - 姫宮 玲雅さん» コメントありがとうございます*ゆっくり頑張ります‼︎ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋波 | 作成日時:2022年1月4日 15時