21.大事に ページ21
昨日の夢に狗巻くんが出てきたことを、彼に話した。
その内容が少し恥ずかしくて、顔を合わせにくかったことも。
それを聞いた彼は、小さな笑い声を溢した。
『ねぇ狗巻くん、笑ってるでしょう…！』
「お、おかか…」
彼は否定するけれど、その声は震えている。
恥ずかしさもあり少し怒って狗巻くんの腕の中で暴れていると。
ゆっくりと視界が明るくなり、すぐ近くに狗巻くんの顔が見えた。
彼に押し倒されたのだと気付くまで、少し時間が掛かった。
『…狗巻くん…？』
私が名前を呼び掛けても、彼は薄く微笑んで私を見つめているだけだった。
彼の顔が、ゆっくりと私に近付く。
『ま、って…！』
私は思わず、近付いてくる彼の顔を拒んでしまった。
狗巻くんは少し驚いた後、困惑してしまったのか慌てて私の体を起こしてくれた。
「おかか、明太子…！」
〈ごめん、調子に乗ってがっつきすぎて…怖かったよね、嫌だった…？〉
ずっと隠されていた心の声が聞こえてくる。
私は首を振った。
『違うの、怖いとか嫌とかじゃなくってね、あの…』
『…狗巻くんの顔がかっこよくて、そういうことするのは耐えられないの…！』
言った後、恥ずかしすぎて顔を隠した。
今日はどうして、こんなに恥ずかしい思いばかりなんだろう。
狗巻くんが何を考えているのか知りたいのに、彼は何も言わず、心の声もまた聞こえなくなった。
あぁ、穴に入りたい程恥ずかしい…
そう思っていると、また視界が暗くなった。
狗巻くんが私を抱きしめてくれている。
「高菜ぁ…」
〈…そんな可愛いこと言うの、勘弁してよ…我慢できなくなるから〉
『…我慢、させちゃってた？』
「しゃけ」
〈もちろん。Aのこと、大事にしたいから〉
狗巻くんの言葉に、胸が苦しくなる。
こんなに大切に抱きしめてくれているのに、“大事にしたい”なんて。
『…好き』
「…ツナマヨ〜」
〈僕もだよ〉
お互いに、苦しくなるほど抱きしめ合う。
優しい声で言う彼は、いつもの彼と違って大人びている気がして、心臓が高鳴った。
狗巻くんの腕から解放され、彼の顔がまた近付く。
今度は目を軽く閉じて、彼を受け入れる。
それでも、これ以上のことをするにはまだ心の準備はできていない。
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saki - 棘くんの呪いが出てくるとは…！伏線回収（で合ってるかわかんないですが）素晴らしすぎます！神作品ありがとうございます！ (11月4日 23時) (
レス) @page31 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
白狼(プロフ) - 続きが凄い気になる。ネタを考えるのと投稿頑張ってください！応援してます！ (2022年4月4日 0時) (レス) id: 62f0033d85 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - ネイジェさん» コメントありがとうございます‼︎上手くお話がまとまらず苦戦していますが、楽しんでいただければ嬉しいです*これからもよろしくお願いします* (2022年1月19日 16時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 続き、続きが気になる・・・！とっても私の好みな作品です！神ですか！？神なんですか！？更新頑張って下さい！応援してます！！！ (2022年1月18日 14時) (レス) @page29 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - 姫宮 玲雅さん» コメントありがとうございます*ゆっくり頑張ります‼︎ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2022年1月4日 15時
