13.治療 ページ13
傷だらけで帰ってきたAを抱え、医務室へ向かう。
扉を何度もノックすると、怪訝そうな目をした家入さんが出てくれた。
「騒がしいな。どした?」
「すじこ。こんぶ!!」
「…あぁ、怪我人ね。久しぶりの怪我だなぁ、A」
家入さんはそう言って、僕に抱えられているAの肩に優しく触れた。
『…そんなに大きい怪我はないんです』
振り落とされないよう僕にしがみついていたAが離れていく。
家入さんは、椅子に腰掛けた彼女のかすり傷を治していった。
「ん、これで全部?」
『…ありがとうございます』
治療が終わったのか、椅子から立ち上がろうとするA。
そんな彼女の様子を見て、家入さんは眉を顰めながら引き留めた。
「元気なさそうだな。大丈夫?」
『任務で疲れちゃっただけです。戻って早く寝ちゃいます。ありがとうございました』
「おい、待て」
そそくさと立ち去ろうとするAの服を掴み、お腹の部分を捲り上げる家入さん。
僕は驚いて、思わず顔を両手で隠した。
「…まだ怪我してんじゃん。しかもかなり深い」
家入さんの言葉に、恐る恐るAの方を見る。
お腹のあたりにできた深い傷から、血が滲んでいる。
僕は彼女を抱えていたのにそれに気付くことができず、それどころかそんな深い傷を負っている彼女を抱いて走り回ってしまっていた。
僕がゾッとしている間に、家入さんは何も言わないAに再度治療を行っていた。
「今度こそ終わりか?」
『…はい。ごめんなさい』
「もう治ったから、元気出しな。頑張ったね」
Aの頭に、家入さんの手が優しく触れる。
Aは小さく頷き、『戻ります』と立ち上がってもう一度お礼を言った。
「またいつでも話においでね、A」
家入さんが言うと、Aは扉のところで振り返り笑顔を見せた。
僕も続けて出ようとすると、後ろから声を掛けられた。
「Aのこと、よろしく」
「…しゃけ」
僕も振り返り、家入さんに頷いた。
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saki - 棘くんの呪いが出てくるとは…!伏線回収(で合ってるかわかんないですが)素晴らしすぎます!神作品ありがとうございます! (11月4日 23時) (レス) @page31 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
白狼(プロフ) - 続きが凄い気になる。ネタを考えるのと投稿頑張ってください!応援してます! (2022年4月4日 0時) (レス) id: 62f0033d85 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - ネイジェさん» コメントありがとうございます‼︎上手くお話がまとまらず苦戦していますが、楽しんでいただければ嬉しいです*これからもよろしくお願いします* (2022年1月19日 16時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - 続き、続きが気になる・・・!とっても私の好みな作品です!神ですか!?神なんですか!?更新頑張って下さい!応援してます!!! (2022年1月18日 14時) (レス) @page29 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - 姫宮 玲雅さん» コメントありがとうございます*ゆっくり頑張ります‼︎ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 55d308068d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋波 | 作成日時:2022年1月4日 15時