24.冗談 ページ25
「Aの青春話を聞くのは苦じゃないな。寧ろ聞きたい」
赤くなったAの頬を撫でながら、硝子がニヤつく。
『別に、青春なんてしてないです…!』
「最近良い感じなのに〜?」
『違うもん…』
「でも、向こうの気持ちには嫌でも気付くんだろ?」
硝子の言葉に、Aは少しだけ頷く。
「じゃあ応えてやればいいのに」
「勇気が出ないなら、僕達がいつでも手助けするからさ〜」
『…大人に恋愛相談なんてしません!』
頬を膨らませながら、Aは言う。
『心の声が聞こえることは、みんなには内緒にしてるし…』
「なんで?言っちゃえばいいのに。それに、聞こえない方が楽だったんじゃないの?言ったらみんな、私らみたいに聞こえない様にしてくれるだろ」
硝子が言うが、Aは浮かない顔をしている。
優しいAのことだから、“聞こえない方が楽”という私益よりも、“聞こえることを黙っている罪悪感”が勝っているんだろう。
「僕はAのそういう所が好きだけど」
「…お、早速アウトだな。A、警察呼ぶ?」
「ごめんなさい、冗談です」
硝子の笑顔に、思わず瞬時に謝る。
Aはというと、そんな僕らのやり取りを少し楽しそうに眺めている。
僕から“好き”と言われても、何も動じないA。
意味は違えど、棘からの好意には戸惑ったり喜んだり、一喜一憂するのに。
そんな自分の感情の起伏の意味を、もしかしたら彼女は気付いていないのかもしれない。
「まぁまぁ、困ったら大人に頼っていいんだよ。人生相談でも、恋愛相談でも」
『じゃあ…何かあったら、硝子さんに話しに来ます』
「おー、おいで」
「あれ、僕は?」
『私、お部屋に戻りますね。ありがとうございました!』
「あれ?」
徹底的に無視される僕を、硝子が馬鹿にするように笑う。
あの子まで、真希達と同じように冷たい子になってしまう…
「僕、生徒に冷たくされる運命なのかな…」
「さぁ?にしてもあの子、可愛いな。食べたいくらい」
「…ん?」
「ジョーダンだよ」
硝子の方を振り向く。
笑ってはいるが、冗談を言っている様な目ではない。
「…うわぁ、生徒に手出すんだ。引くわー」
「出してねぇよ。あんたじゃないんだから」
「僕だって出してないですー」
「私はあんたと違って女だから、警戒だってされないんだよ」
「…え?マジで手出さないでよ?」
僕の言葉に、硝子は笑うだけだった。
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saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる!硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして!緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました!ずっときゅんきゅんしています!素敵な作品をありがとうございます! (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜!あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛!素敵な声〜〜〜!!凄く好きです!好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています!!大大大大ファンです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:緋波 | 作成日時:2021年2月21日 0時