20.みんな ページ21
翌日、風邪は治ったが、また別の体調不良に襲われた。
「…A、大丈夫か？」
『…ん、大丈夫だよ〜』
痛みを押し殺して笑ったのに。
〈…今日、アレの日か。こいつ、無理しそうだなー…〉
真希ちゃんにはバレてしまったようで。
「病み上がりなんだから、無理すんなよ」という真希ちゃんの言葉に、優しさを感じて涙が出てきそうだった。
『平気だよ、ありがとう』
そうは言ったものの、腹痛も腰痛も、耐えられない程の痛みになってきていた。
任務に行く真希ちゃんを見送った後、覚束ない足取りで歩いていると。
後ろから、何やら急いでいる様子の足音が追いかけて来た。
「…ツナマヨ」
『あ…おはよう、狗巻くん』
私に追い付き肩を並べる狗巻くんに、微笑んで言う。
しかし、彼は少し焦った様子をしていた。
手には彼のジャージが握られている。
「明太子」
狗巻くんはそう言いながら、私に真似をしろと言う様に両腕を上げた。
よく分からないまま、でもそれを尋ねる元気すらなくて真似をする。
すると、私の腰に持っていたジャージを巻き始めた狗巻くんから、心の声が聞こえて来た。
〈後ろ、血が付いてるの気付いてないかな…とりあえずこれで隠せるかな。僕に言われるのは嫌だろうから、早く気付いてくれたら良いけど〉
全く気付かなかった。
狗巻くんがそんなことにまで気を遣ってくれていて、すごく嬉しかった。
『…ありがとう。洗って返すね』
「おかか。高菜」
〈ジャージは何でも良いから、あったかくしてね〉
彼の優しさに触れて、もう心は既に温かくなっていた。
そこに、パンダくんと乙骨くんも歩み寄って来た。
「おはよう、Aさん。さっき自販機行ってきたんだけど、あったかい飲み物いる？」
〈朝見た時、体調良くなさそうだったし…病み上がりだし、無理して欲しくないなぁ〉
「俺の腹であったまってくれてもいいぞ」
〈顔色ちょっと悪いな。昨日の風邪のせいか、それとも違う何か…分からんけど、これは無理させちゃダメだな〉
『…ありがとう。みんな、大好き』
優しい同級生達に囲まれて、何だか痛みも消えていく様な気がした。
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saki - 告白の仕方がこう…どっちも呪いって言うのが良すぎる！硝子さん出てくるのも好き… (11月4日 0時) (
レス) @page43 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
佳日 - 初めまして！緋波さんの描く狗巻先輩とヒロインがすごく可愛らしくて一気に最新話まで読んでしまいました！ずっときゅんきゅんしています！素敵な作品をありがとうございます！ (2021年4月11日 12時) (レス) id: d082233f53 (このIDを非表示/違反報告)
ねね - 狗巻先輩かっこいい〜〜〜！あの整った顔立ち、さらっさらの髪の毛！素敵な声〜〜〜!!凄く好きです！好きすぎて丸一日狗巻先輩のことを考えています！！大大大大ファンです！続きを楽しみに待ってます！ (2021年3月19日 21時) (レス) id: 1efb73ea53 (このIDを非表示/違反報告)
緋波(プロフ) - #すずめさん» ありがとうございます~!*これからも頑張ります* (2021年3月6日 19時) (レス) id: c96b915781 (このIDを非表示/違反報告)
#すずめ(プロフ) - 狗巻先輩可愛い!これからも更新頑張って下さい!! (2021年3月6日 8時) (レス) id: d788bf59a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緋波 | 作成日時：2021年2月21日 0時
