呪術廻戦*狗巻くんの心の声

11.おいで ページ12

「…んで、“術式”の話に戻るけど」


私の膝から離れていった五条先生が、話を本題に戻す。


「Aの術式は、棘と同じように相手を操れる」

『…操る？』


五条先生は、良く言えば簡単に、悪く言えば適当に、私の“術式”について教えてくれた。


私は自分の声を、相手の頭に届けることが出来るらしい。

そして、私が相手の頭に“命令”を下せば、相手はその通りに動く。


「そうだなー、また膝枕なんてされたら棘に睨まれるから…今度は、僕をそっちまで歩かせて。『こっちに来い』みたいに念じれば良いよ」


私は集中する為に目を閉じる。

みんなの思念が聞こえる中、私は五条先生に言うことを聞かせようと、心で何度も『こっちに来て』と念じる。


私に“術式”を試させているときだけは、五条先生の思念も私に届く。


〈前に言ったように、“呪力”を頭に流すイメージだよ〉


私が心を読めることを知っている先生は、思念でアドバイスをくれる。


目を堅く閉じ、集中する。


〈頑張ってるA、可愛い…〉


先生、こっちに来て…


〈目閉じてるのも可愛い…〉


先生、こっちに来て…

狗巻くんは、ちょっと静かにして…


〈…あ、昨日よりちょっと前髪短くなってる…可愛い…〉


前髪は切ったよ、よく気付いたね…

狗巻くん…


そのとき、頭に電気の走ったような、不思議な感覚がした。

もしかして成功したのでは、と目を開ける。


しかし、目の前にいたのは五条先生ではなく、狗巻くんだった。


『…え？』

「おかか…」
〈…なんで？僕、五条先生じゃないけど…〉

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