騙し討ち。 ページ14
・
深く頭を下げる。
悟くんは黙ったままこちらを見ていた。
「...なんで？」
『だって悟くんが殴られたのは私のせいじゃないですか』
悟くんは否定も肯定もせずに目を私から逸らした。
きっと本当のことを言ったらお兄ちゃんには呆れられるかもしれない。もう口を聞いてもらえないかも。
でも仲のいいお友達の悟くんに嫌われる方が少し怖かった。
お前のせいでお兄ちゃんに殴られたんだぞ、って言われるのは嫌だった。
どこまでも自分勝手な考えしか出来てない。
お兄ちゃんは私のこういうところに愛想をつかしたのかもしれないな、と自嘲気味に笑う。
『だから、｢認めねーから｣...え』
悟くんが私の言葉を遮る。
私が顔を上げると、ぐしゃりと頭に手を置かれた。自分の前髪が乱れて目を隠され、前が見えない。
｢俺聞いただろ、俺が“彼氏”でいーのかって｣
『...聞かれました』
「お前がそれにいいよって言っただろ？」
『言いました。でもそれは』
｢俺は彼氏“役”だなんて言ってないけど？｣
『...あ、』
ぱっと手が頭から離れる。前髪を整えると、悟くんの顔が見える。
青い目が、いたずらっぽく光っていた。
________それって、どういう意味？
そんな事聞かずとも分かる。
悟くんは最初からそのつもりで、私はちゃんと話を聞かずに軽く返事をしてしまったということ。
｢だから言ったろ？“言質は取った”って｣
ニヤリと悪そうな顔で微笑む悟くん。
私の顔に熱が集まるのがわかった。
『そ、れは...』
｢…お前が嫌なら振ってくれ。けど俺、本気だから｣
じゃなきゃお前の兄貴に殴られるなんてしないっての。
悟くんの静かな言葉にはっと顔を上げる。彼はまた顔を伏せってしまっていたけど、耳は真っ赤。
『...少しだけ、考えさせてください！』
思っていたよりも数倍大きな声の返事を返して、私は店の奥へと引っ込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2898人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
【呪術廻戦】糸師兄弟の年の離れた姉は呪術師【ブルーロック】４
先輩の私が五条悟に攻撃されたので殴り飛ばしていいですよね？【３】
最も会いたくない元カレに再会するとか聞いてません【松田陣平】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (12月15日 16時) (
レス) @page3 id: 7de4ffbd52 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。＿ねむみん。 - 凄く面白いしいい作品でした~!!作者さんってもしかして最強!?これからも応援してます!ステキな作品ありがとうございました!! (11月19日 11時) (レス) @page45 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
かけたま - こんなにも面白い作品を生み出すあなたは(^^)最強か？ これからも応援させて頂きます。 頑張って！！ (2021年12月12日 0時) (レス) id: a9aad67263 (このIDを非表示/違反報告)
猫餅 - 体長が体調になっています。>"< (2021年8月11日 20時) (レス) id: 3a7b856aca (このIDを非表示/違反報告)
ぬぬ(プロフ) - 素敵な作品私ありがとうございました。とても面白かったです！ (2021年4月26日 11時) (レス) id: 7168c245e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宙
| 作成日時：2020年12月31日 14時
