素直で意地悪で

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絶体絶命



チョンジョングクが壁に右手をついて、私の顔を覗き込む



JK「俺の壁ドンなんか何ともない？」



「さ、さっきから何」



JK「ヒョンがやったら照れるんだろ？」



彼の指が頰をなぞる



「別に、テヒョン先輩が特別なわけじゃ…」



JK「じゃあ何で俺には戸惑わないし照れないんだよ」



「戸惑ってるし照れてるよ！」



口をついて出た言葉にハッとする



「いや、だからその、私は男慣れしてないから…」



JK「あー待った。もういいよ、ごめん」



「え、」



JK「俺が勝手に勘違いして焦って、困らせたよな」



まじダセーわ俺、と呟いて手で顔を覆う



JK「よし、仲直りの握手しよう」



この人、全然読めない人だな



手を差し出すと、嬉しそうにブンブンと振り回す



JK「そういえばちゃんと名前呼んでもらったことない」



「うんまぁ、話しかける事がないからね」



JK「ジョングク」



呼んでくれと言わんばかりの表情



JK「グク？」



いや短い方がいいとかじゃないんだけど



JK「A」



私の目をしっかり捉えて離さない



JK「わー初めて名前呼んだけど、なんか緊張する」



「グク」



JK「な、今、名前…」



「何？」



JK「余裕そうでムカつく」



「私にムカついてばっかりだね」



JK「ムカつくし俺に対して冷たすぎだし訳わかんねーよ」



「あんたに限らず男には冷たいの」



JK「何で？」



「関係ないでしょ。じゃ、そろそろ行くね」



そのまま控え室までついて来たグクを、着替えるから、と追い払って部屋に入る



さすがにヘミもルイも居なかった



さっきの事を思い出して、顔が熱くなるのを感じた



ううん、これは錯覚だ絶対そうだ



ダンスに魅了されて、その延長でドキドキしただけだ



HM「Aいるー？」



なかなか帰って来ない私を探しに来たらしい



HM「どこ行ってたの〜」



「んーちょっと」



予想通りヘミに質問攻めにされ、白状した



HM「急展開すぎてついて行けれん」



「もうこれ以上関わりたくない」



HM「はぁ？あんたね、自分の気持ちに嘘つくつもり？」



「気持ち？」



HM「グクって呼んだ時点で少なくとも興味はあんのよ」



「そんな事…」



HM「素直になりなさい」



分かってた



少しずつ、恋に向かっている事



でもそれを認めるわけにはいかない



きっと私は恋をする事を恐れている

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