水の中。 (ページ7)

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mtk

放課後、特にすることもなく1人教室に残っていた

最近Aと少し距離を感じる

もしかしたら気のせいかもしれないけど

もちろん帰りは3人で帰っているけど、学校生活でもよく一緒にいたのに最近はいないことの方が多い

だからか、彼女を目で追うことが増えた

モ「俺なんかしたかなぁ...」

心当たりは一つもない、はず

ザ「あれ、帰ってなかったの」

モ「なんか気付いたら時間経ってた笑」

ザ「...ねえモトキ」

モ「ん？」

ザ「振られちゃった、笑」

昔からザカオはAのことが好きで、相談、というかここが可愛い！って言う話をよく聞かされていた

距離が近すぎて分からなかったけどザカオがちゃんと見てって言うからよくよく観察していると

表情がコロコロ変わったり

授業を真剣に受けているかと思ったら、たまーにうたた寝していたり

友達と楽しそうに話しているところとか、
フィッシャーズ以外の男子と楽しそうにしているのを見たら何故か変な気持ちになったりした

いつも俺はザカオに想いを伝えないの？と聞くけど

「あいつには好きな人がいる」

って言って言おうとしなかった

モ「そ、っか...」

ザ「告ったっていうか好きな人いるの知ってて、よくあるじゃん！好きな人の相談相手っていう立場笑

...あれって結構、しんどいな」

モ「ザカオ...」

さっさと帰ろうぜ！って振り返って出てこうとするザカオ

無理して笑って、声が震えていた

ずっと近くにいてどれだけ好きだったか痛いほどわかる

Aを愛おしそうに見つめるザカオ

今思えば、あの3人の時間を崩してしまうって分かってたから彼は言わなかったのかもしれない

なのに俺はそんな気も知らないで

本当に俺って人の気持ちに疎すぎる

モ「ザカオ！土手行こう！」

ザ「...！」

モ「...我慢するくらいなら、思いっきり泣いた方がスッキリするんじゃないかな？

...俺結構お節介なこと言ったよね。本当にごめん。」

ザ「もと、き、謝んなよ、うっ、ひ、」

この後土手に行き、寒空の中荒川に飛び込んだザカオが風邪を引いたのは言うまでもない