【リレー小説】第一回百日乱戦

始動前【ジャック・インペリウム/こきあ】 ページ6

主催者であるジャック・インペリウムは、誰よりも早く前夜祭が行われる会場に辿り着いた。

まだ誰も来ていない、がらんどうな空間の中心で、ジャックは腕時計を見て、時間を確認する。

「まだ、時間はありますが…迷子になっていないですかねぇ？」

溜め息を吐くように、ジャックは呟いた。

「まあ…余程のことがない限り、大丈夫でしょうが…何せ、私のお気に入りですからね」

ジャックがお気に入りと言う者たちは、今回開催される【第一回百日乱戦】の参加者だ。

何がきっかけで知り合ったのか、そんなことは本人にしか分からないのだが。

そもそも、この催し物自体、ジャックが秘密裏に準備を進め、独断で開催したのである。

ジャックは大統領以上の権力を持つ人物であり、どんな犯罪を起こしても、自身の持つ権力を大いに振るい、帳消しにしてしまうのだ。

「絶対に彼を敵に回してはいけない」と、政治家の間での暗黙のルールが存在するとかしないとか。

他にも、彼に関する都市伝説が多く存在する。

「そうですねぇ…では、四時間後に前夜祭を開催しましょうか」

誰かに言うわけでもなく、ジャックは独り言を呟いた。

しかし、その台詞は、まるで会議の締めの言葉の用な口調であった。



ジャックは微笑む。

これから起こる殺人喜劇に期待を寄せながら。

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