田中洸希の憂鬱日記

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その後、あっという間に変な噂が広まった。


滅多に女と話さない俺と、滅多に男と話さない市川Aが(笑顔で)話していたとなると噂が広まるのも無理はない。




「洸希君に彼女がいたとかショックー！」

「しかも相手は市川Aなんでしょ？噂では洸希君のこと体で誘惑して落としたらしいよ。」

「噂通りの性悪女ー！天使とか言われてるけど悪魔の間違いね」


「めっちゃ言えてる。あーうける！！」




ありもしない噂が飛び交う中、
席が前後のためとても気まずくなった。




洸希「…」


『…』




市川Aは友達がいないのだろうか？
寄ってくるのは男だけで、女は寄ってこない。

女たちの醜い妬み嫉みによって市川Aが被害を受けるのはとてもではないが可哀想に思えてくる。




洸希「…なぁ」




目の前で、机に向かってる市川Aに話しかけてみる。



『……』




だが、反応なし。
でも俺は続けて話しかけた。



洸希「ごめん」



いままで勉強をしていたのか、
何かを書いていた手が止まるのがわかった。

それとも、自分って気がついてなかった？




洸希「ごめんな。
なんか……巻き込んでごめん。」


『…なんで謝るの？』




驚いた顔で振り向く市川A。




洸希「めちゃくちゃ悪口言われてるから…」


『うーん、別に気にならなかったし平気。
言われてたとしても、いつものことだし』


洸希「…そっか」





正直、強いなと思った。









この時の俺は知らなかったんだ。
市川Aの本心に。







本当に、強い女だと思ってたけど
そうじゃないってこと。

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