和哉*その愛、期間限定 (ページ5)

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校内ですれ違う人達の視線が痛い。なんで和哉先輩が近くにいるだけでこんなに変わるんだろう。

和哉「A、はい」

カフェテリアで和哉先輩がフォークに刺したトマトを差し出してくる。フォークごと受け取ろうとしたら、ひょいとかわされてそのまま口に入れられた。

近いのか遠いのか分からないところから小さな悲鳴が聞こえてくる。

「こんな人前でやらなくていいじゃないですか」

和哉「人前でやんなかったらどこでやるんだよ。周りに付き合ってるアピールしないと本番で票集まんないんだからやるしかねーんだよ」

そう、カップルコンも当然投票制になるらしい。仲が良くてお似合いで幸せそうなカップルは誰なのかというのを競い合うってこと。

なんで他人にそんなこと計られなきゃいけないのか。ミスコンとミスターコンとはまた違った気にさわるコンテストだな、と改めて思わされる。

和哉「今はまだいいけど後々写真とか撮ってかないと。張り出されるときに何もないじゃ意味ないからな」

和哉先輩と、写真。2ショットで満面の笑みでピースなんかしちゃってるカップルの写真と自分達を当てはめる。

...うわぁ、無い。

和哉先輩も同じこと思ってるのか眉を寄せて苦虫を噛み潰したような表情してる。

「...ピースは出来るようにしておきますね」

和哉「問題はそこじゃないだろ」

和哉先輩が空になった食器を片付けてお盆を持つ。自然と、私の方のお盆にも手を伸ばして取る。

「持ちますよ」

和哉「そういうのいいから。ありがとうって言えそこは」

周りに気づかれないように小さい声で文句を言う和哉先輩に少し大きめの声でありがとう、和哉と言うと満足そうな表情をした。