今度は私に牙が生えた【YouTuber】【人狼ゲーム】

１２.擦り付け ページ13

一気に２人もの仲間が死に、場の雰囲気はいつもに増して険悪だった。

「この話し合い、あと何回続くんだろうね」

あやなんさんが悲しげにそう言い、沈黙が続く。

皆、言わないだけでたくさんの仲間を失ってきたのだ。生きたいという欲がありつつも気分が悪くなるのは当たり前だろう。私もいくら生きたいとはいえ、次々と私の手によって命を絶つ仲間が増えるのは複雑な気持ちでいた。

「俺は生き抜きたい……。でも、昨夜の犠牲者がなんで俺じゃないのかが謎なんだ。普通なら騎士を真っ先に殺した方が都合がいいはずなのに」

ないとーさんは、昨日のターゲットに選ばれなかったことを不思議に感じているようだった。すべて私たち人狼の思惑通りで、私は心の中でにやけた。

「ないとーさんが死ななかったてことは、単純に考えたら人狼ってことじゃないんですか？ そらさんが呪殺されたってことはもう妖狐はいないわけですし、私はないとーさんが人狼かなって」

私はこのまま押し切ればないとーさんを吊って勝てるんじゃないかって思い、思い切って言った。狂人が生きているか死んでいるかわからないけど、ここで市民陣営を吊れば私たちの勝ちは目前なのだ。

「そういうAちゃんが人狼なんじゃないの。そうやって俺を落とし入れようとしてるんでしょ？」

ないとーさんはやはり反抗してくる。このまま勢いで騎士COしてしまおうかと思ったが、それじゃあ私も危険な目に遭いそうなのでやめておいた。

「いや、飽くまでももしかしたらって思っただけなんで。気を悪くしてしまったらすみません」

ここは潔く誤って私にヘイトが向かないようにと、一旦この話に触れることをやめておく。



「占い結果言っていいすか？」

マサイさんがそう言い、そういえば占いと霊能結果を聞いてなかったな、と気付く。

皆が「どうぞ」と言い、マサイさんとトミーさんがそれぞれ結果を言った。

「俺が占ったのはトミーさんで、結果は白」

マサイさんの占い先は想定外のところばかりで、正直本物の占い師とは私には思えなかった。それは他の皆も思っていたようで、占いの結果を聞いて驚いたような顔を見せるものばかりだった。

「シルクの結果は白。だから、タナカガちゃんの占い結果は正しかったってことになる」

そらさんが呪殺によって妖狐だとわかった今、トミーさんは本物であることは確か。ここで、１つのことに私は気付いた。




マサイさんの占いが、破綻していることに。

１３.暴露→←１１.身体

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す