10.こころ ページ11
また夜がやってきた。昨夜に比べて気持ちは楽で、殺したくないというよりかは私が生きるためにはどうしたらいいかを考えるようになった。
「さ、今日はどうする?」
虫眼鏡さんが私の顔を見て問いかける。
この状況で占い師と霊能者COしている4人を殺すのはリスクがあるが、そうしなければどうにもならない。なんとなく、そんな気がした。
「占い師を決め打ちした方がいいかもですね」
「お、Aちゃんもそう思う? 俺と同じ意見だね」
「え、本当ですか? ちなみに、なんで決め打ちしようと思ったんですか?」
「敢えてないとーさんを残すことで、騎士じゃないように仕向けることが出来るでしょ。あと、裏を読んで占い師護衛はしてないと思う」
流石虫眼鏡さん、ちゃんと根拠もあって私との思考の差を明確にされたような気がして情けなくなった。
「決め打ちするなら、私はタナカガさんを噛んでおきたいです、なんとなく」
また何となくで決めてしまった。
「お、俺もそうしようと思ってたんだ。真にしろン偽にしろ嘘をつくのが上手そうだしね。狂人だとしても仕方ない」
また虫眼鏡さんとの思考能力の差を浮き彫りにされ、こっぱずかしくなりながらタナカガさんを選択し、部屋に向かった。
扉を開けると、タナカガさんはベッドの上で寝ていた。
「どうする?」
小さな声で虫眼鏡さんが話す。どうするればいいかわからなくて混乱した私は、何も答えることが出来なかった。
「10分ぐらい待ってみて、起きなかったら殺そう」
虫眼鏡さんの提案に私は頷く。次は私が殺す番だったから、心臓がいつになくバクバクして少し気分が悪かった。
あれから10分が経ち、おもむろに私たちは立ち上がった。タナカガさんが起きる気配は一切ない。
申し訳ない気持ちと感謝の意を目一杯にこめて、頸動脈目掛けて刀で切り裂いた。それと同時にタナカガさんが目を覚まして悶えるが、追い打ちをかけるように、生の喜びをかみしめながら、私は役目を果たした。
私の服には赤の斑点がいくつもあったが不快には思わず、いつしか私は人狼になりきっていた。
「お疲れ様」
虫眼鏡さんの一言がとても優しくて、私はなぜだか涙を流した。
部屋に戻ってシャワーを浴びている間も涙はひたすらに流れ出ていた。人を殺めてしまった喪失感のようなものではない。でも、いつまでたってもその答えは出てこなかった。
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おかゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます!前作から読み続けて、この後の私の行動どうしようかなまで考えられる素敵な小説でした。個人的に虫さんが早くメンバーに会いたがってるシーンが胸にグサグサささってきました…とっても面白かったです! (2020年10月19日 20時) (レス) id: 2797378088 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 前作からきました!!今作も楽しみです!!頑張ってください!! (2020年9月19日 20時) (レス) id: 2797378088 (このIDを非表示/違反報告)
佐松 コン(プロフ) - 前作から来てくださった方ありがとうございます◎こちらのミスで色々ありましたが、気長に更新していきたいと思います〜 (2020年9月19日 13時) (レス) id: cf26859d8e (このIDを非表示/違反報告)
狼猫 - 前回のをハマりすぎて二時間位で読み終えました!今、どはまり中です!更新頑張ってください! (2020年9月19日 12時) (レス) id: d9951e1648 (このIDを非表示/違反報告)
花霞。(ピクルス)(プロフ) - 来ました!わぁ、タナカガさん追加されてる!! (2020年9月18日 14時) (レス) id: 9940065f90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐松 コン | 作成日時:2020年9月18日 13時