__その手を握ればもう一度 ページ9
Your side
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大学生になりたての頃、顔も声も性格も全部一目惚れをして私から告白して付き合った人がいた。
でも、付き合ってみたら思ってた以上に進展できなくて、彼もまた高校までずっと男子校で過ごしたからか、普段しっかりした人なのにこういう恋愛のこととなると人が違うかのように変わってしまう。
嫌いになったわけじゃないけど、これなら友達に戻ったほうがきっと合ってる
そう思って別れた彼。
その時から3年が経った、ちょうど夏休みが近づいてきた頃
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『あ、Aちゃん、ここあいてるよ』
「ありがとう〜！」
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珍しく遅刻ギリギリに講義室に入ったために席がほとんど埋まっててキョロキョロしてれば、それを見つけた皇輝くんが手を振って呼んでくれた。
別れたとはいえ、喧嘩とか何かあったわけじゃないから今は友達として普通に過ごしてる。やっぱり友達としてだと変な気を使わないでいられて楽だった。
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「あ、そうだ皇輝くんは来週のこのお祭り行く？花火も上がるんだって」
『あー、それうっちーに誘われたな。Aちゃんも行くの？』
「うん、私もうっちーにみんなで行こ〜って言われたから皇輝くんも行くのかなって」
『大学生活最後の夏だしね、行こっか』
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そうして決まったお祭りの約束。
私と私の友達と、皇輝くんとうっちーの4人。
皇輝くんとは最寄りが近いから一緒に行くことになって、なんだか久々に2人きりなのは少し緊張してしまう。
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『浴衣着てきたんだ』
「うん、浴衣着て行こうって約束したんだよね」
『俺もお祭りっぽく浴衣着た方が良かったかなあ』
「うーん、でも人混みだし動きやすいほうが良いんじゃない？」
『まあ...そうだけど』
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ちょっと、
ほんのちょっと期待してしまった。
皇輝くんは男子校生活が長くて女の子に慣れてないし、自分のことすぐ気にしちゃうのは相変わらず皇輝くんらしくて安心したけど
友達に戻ってるとはいえ、やっぱり元は私が一目惚れして好きになって一度はお付き合いした相手だから、可愛いとか言ってくれないかななんて思う。
自分から友達に戻ろうって言ったくせに、こうして2人きりでいるとまた少し意識してしまうんだ。
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作者名：ようぴょん** | 作成日時：2022年10月1日 22時
