キヨとかいう人に気に入られた話【実況者】【キヨ】

#39 ページ43

『バイバイ』

鳩たちに向けた笑顔を、俺にも向けてくれないだろうか。

そんなことを考えながら映画館に向かった。

.

なんの映画を見るのか話し合う。案外Aはホラーいけるタイプの人間らしくて、ホラー映画を見ることに。

まだ上映まで時間があったため、先に列にならんで飲食物を購入することにした。

『えーっと…塩がいいですね』

ポップコーンの味を決める時、Aと好みの味が同じだということを知り、少しだけ嬉しかった。奢ろうとしたら止められた。

それからすぐに上映時間になり、俺達は席についた。
最初はいつも通り予告が流れていたが、間もなく本編が始まった。

序盤だからかあまり幽霊は出てこず出てくるのを待っていたら、出てきた。

急にスクリーンに写し出された幽霊を見たとたん、俺は小さく「ぉー」と声を出していた。実況のせいか、ホラー耐性がついていてあまりビビることはなかった。

だが隣をちらっと見たとき幽霊が現れたときに声を出さずにびくんと体を震わせるAが目に入った。

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