キヨとかいう人に気に入られた話【実況者】【キヨ】

#4 ページ5

「MC、聞かないんすか」

『は』

急に話しかけてきたと思ったら、訳のわからないことを問いかけてくる。
どうにか返答しようと私は頭の中で必死に文を作り、口を開く。

『…あー。トイレ、行ってました。私、元々あのお二人のファンって訳でもないしMCくらい別にいいかなって』

「ふーん」

『貴方は？…お友だちさんのライブなのに。戻らなくていいんですか？』

自分のことだけ答えているのも腹立たしく、気づいたときには言葉が出ていた。

「いや、俺はなんか…まわりの歓声とかデカい音楽とか聞いてたらなんか頭痛くなって」

『…そですか。お大事に。』

これ以上話を続けていたら色々と怪しまれそう、と思い会話を強制終了させ、ペコッと頭を下げたあと歩き出そうとした。だが。

「…あ、それ。殺戮の天使だよね」

まだ会話を続けるかコイツ。
確かに私はフリーホラーゲームが好きで、よくカバンにキーホルダーをつけている。
『そうです。あー、確か実況、されてますよね』

「してるしてる。てか俺のこと知ってるんだね」

『いいえ』

「え？」

あながち間違いではない。今のも友人のいったことを思い出して口にしただけだし名前もやっと思い出した程度だから。

『いや、嘘つきました。えと…名前くらいしか知らないです、友達に、貴方のファンがいるので』

機嫌を損ねないよう、頑張って文を考える。

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