キヨとかいう人に気に入られた話【実況者】【キヨ】

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映画館はそう遠くなかった。すぐにたどり着き、今は映画館の中にいる。

『何、見るんですか？』

「ホラーとかどう？」

『えっ』

「俺よく映画館来るけどホラー全然見ないんだよね」

『あ、そうなんですね…』

「怖いの無理？」

『あ、いいえ、平気です』

なんやかんやでホラー映画を見ることになった。

『まだ上映まで時間ありますね』

「じゃーポップコーンとか買いにいっちゃうか」

『わかりました』

列にならびながら何を買おうか、目の前のパネルを見て悩む。

「ポップコーンの味どれにする？」

『えーっと…塩がいいですね』

映画館のポップコーンは塩。塩以外食べたことがない。

「俺も塩好き。Lサイズ買うけど食べれる？」

『食べれます!』

「はーい。飲み物は？」

『…うーんと、ファンタ飲みます。』

炭酸にポップコーン。お腹の中が大変なことになりそうなイメージの組み合わせだがまぁいいだろう。

「じゃ、払ってくる」

『?!ちょ、ちょ待ってください!なんのために私並んだんですか、自分の分は自分で払います!』

キヨさんの服の袖を掴んで制止した。

男だろうが女だろうがあまりおごってもらうのは好きじゃない。

「え…?あ、いいの？」

『当たり前です、簡単に奢らないでくださいよ変な罪悪感出てきます…』

「わかったわかったって。あ順番来た」

私たちはレジに立って飲食物を購入し、上映時間を待った。

この時私は忘れていた。

ホラー映画は役者さんが演じているから、と自己暗示しているがそれ以前に急にお化けが出てくるなど驚かし要素のあるものが本当に苦手だということを。

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