キヨとかいう人に気に入られた話【実況者】【キヨ】

#3 ページ3

外はスタッフ以外ほとんど誰もいなかった。当たり前か。

さっきの関係者席にいたのが誰なのか。やっと思い出した。別の友人に動画を進められて見たことがある。

確か、キヨ、って人だったはず。
あの赤い髪で確信が付いた。

そんなことを考えながら廊下を歩いていると、目の前のドアが開き誰かが出てきた。

「あ」
出てきた人物は私を見て、小さくあ、と声を出した。

『え』
そう。目の前に現れたのはその赤い髪の持ち主、キヨだった。私も無意識に口から小さくえ、と声が出てしまっていた。

私はかなり浅く会釈をし、横をサッと通り抜けた。喋ることもないし、少し気まずかったからだ。

私のことを見てあ、と言ったのはあれか。もしかしたらさっきの、ガチで目があっていたのだろうか。

.

トイレを済ませ、軽く化粧を直してトイレから出る。化粧といってもほんとに少ししかしてないからあんまり変わっていない気はするが。

来た道を歩いていると、ドアに誰かがもたれかかっているのが見えた。

『うわ』
さっきの、彼だった。何をしているのか。さっさと戻ってほしい。

また、彼の方は見ないようにして目の前をすたすたと歩く。

「あの」

『え』

声をかけてきた。一刻も早く戻りたい。

×××→←#2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す