全力できみを振り向かせ隊【ヒロアカ】 (ページ3)

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(轟くんｓｉｄｅ)

八百万が個性で創った、青色の王子の衣装。

よくできているな、なんて思いながら
袖に腕を通す。

正直、王子役はそんなに気が進まないが

好きな奴が姫役となると話は別だ。

まあ、俺が指名したんだが。

キスシーンだってあるわけだし、そういう下心みたいなのも少しはあったものの

何より、Aのドレス姿が見たかった。

だいぶ勇気を出して姫役にあいつを指名したはずなのに

俺がAをどう思ってるかなんて、
たぶん本人は1ミリも気づいてないと思う。

はぁ、と小さくため息が漏れた。

「おい、轟」

練習場所の教室に移動している途中
相澤先生に飛び止められる。

「劇の話だが、その…キスは寸止めにしとけよ、」

「 …なんでですか」

「ほかの先生方の目も気になるからな」

少し納得がいかないがとりあえず
はぁ、と返事だけする。

Aとそんなにベタベタするなよ、
とだけ言って相澤先生は足早に去ってしまった。

ほかの女子は苗字なのに
なんであいつだけ名前で呼ぶんだよ

ふと出てきた疑問。

まさか相澤先生もAのこと…？

「いや、考えすぎか」

教師と生徒だしな、なんて

このときの俺は軽く考えていた。