拗らせ症候群。Mizuki.I (ページ6)

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「しゃ、喋ってる、は、はしもっちゃん、あれ、」

最上階の渡り廊下。

ここからは図書室が思い切り覗けて、いつも「勉強してるから」と言いつつ、毎回毎回ここで図書室にいるAを見てた。

はしもっちゃんからは、「ストーカーかよ」なんて笑われたけど。

けど今日は今までと違う。

今まで業務連絡っぽい会話以外してこなかったAと猪狩が仲良さそうに話してる。

「あららー。牽制の意味なかったね。逆に火つけちゃった感じ？」

「…マジでアイツぶっ飛ばす」

はしもっちゃんと猪狩は同じバスケ部で、俺も猪狩と面識はあった。

昨日猪狩から、《戌井先輩と付き合ってるんですか？》なんてメールが来て、問い詰めたらどうやらAのことを気になってるらしい。

ふざけんなと牽制をしたつもりが、逆に今日、初めての会話を果たしてしまったんだ。

「にしても瑞稀もメンヘラ力増してるよねー。Aちゃんに図書委員やめてなんてお願いしてさ」

「仕方なくね？耐えらんねぇもん」

「耐えろよ。Aちゃん従順だからほんとにやめようとしたんだよ？」

「いーの、Aはそれで」

「ダメでしょ。慌てて止めたけどさ」

「止めんなよ」

マジではしもっちゃん余計なことしたよね。

俺がこの18年、何の為にAに全てを賭けてきたと思ってんの。

「…あ、」

「あ、Aちゃん笑った」

「んな可愛い顔してんじゃねぇよ」

「アレは可愛い。あんなの目の前でやられたら好きになっちゃうわ」

「はしもっちゃんでも許さないよ」

「ははっ、冗談でもマジに聞こえるからやめよ？怖い」

冗談じゃねぇし。

って、はしもっちゃんもマジだって分かっててこう言うんだろうけど。

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