____10 ページ10
You side.
康「Aさん、どこかで会ったことありません?」
「.....え、」
康「ずっと気になってたんです。うん。やっぱどこかで会ったことある気がする。」
ジッと顔を見つめられて、全身から汗が噴き出しそうになる。
どこやったかなぁ、と悩んでいる彼に、思い出すな、思い出すな、と念を送った。
が、その願いも虚しく彼は取るに足らないの記憶を取り戻してしまった。
康「あ!雨降ってる時に転んでた人や!」
あぁ....もう、
思い出してほしくなかった.....
大「お前何やってんだよ!」
「....しょうがないでしょ。あの時は疲れも溜まってたし、ましてや彼氏と別れた直後で、....あ、」
言わなくてもいいことを口走ってしまい、慌てて口を噤んだ。
康「別れちゃったんですか?」
眉を下げて悲しそうな顔をした向井くん。
「うん、まぁ、」
深掘りしてほしくなくて、曖昧な返事をしたせいで空気が再び重くなってしまった。
「あーでも、あれよ?大した男じゃなかったし、元々別れる気でいたし!それにもう今良い感じの人いるから元カレのことはどうでもいいんだ〜なんて、」
慌てて言い繕った言葉は、当たり前だけど全て嘘だ。
浮気を知るまでは彼の存在が少なからず私の人生の支えになっていたし、
出来ることなら結婚したいと思っていたし、
勿論良い感じの人なんかいないのに、
この空気の重さと自分の気持ちが露呈することが怖くて、今日2回目の嘘をついてしまった。
佐久間が何か言いたそうにこちらを見ているけど、言ってしまった以上引き下がれない。
何も言わないで、と言わんばかりに佐久間にだけ見えるように首を横に振った。
.
1727人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cleam(プロフ) - ちなこさん» コメントありがとうございます!毎日読んでもらえてるんですか....!めちゃめちゃ嬉しいです( ; ; )素敵って思ってもらえるように描けてよかったです!ありがとうございます! (2021年3月29日 20時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - みうさん» コメントありがとうございます!こちらのお話はさくまくんがかなり切ないポジションですよね( ; ; )「うわあああ」ってなってもらえてよかったです( ; ; ) (2021年3月29日 20時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
ちなこ(プロフ) - cleamさんの書かれるお話が好きすぎて1日一回は読んでます!!!こーじくん素敵すぎて惚れ直しました…() (2021年3月27日 2時) (レス) id: 3adce2c6d7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - うわあああさっくん(TT)(TT)ってなりました素敵です(TT)(TT)(TT) (2021年3月26日 16時) (レス) id: 90ad8ea26a (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - のびさん» コメントありがとうございます!さくまくんの一途さ感じ取っていただけて嬉しいです◎さくまくんのリクエスト何件かいただいてるので、またいつか出させていただきます^^ (2021年1月23日 14時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:cleam | 作成日時:2021年1月3日 13時