＿＿＿＿１９ ページ19
You side.
康「2時間でいいですか、」
「.....うん。向井くんが良ければ、」
康「じゃあ2時間で。」
手続きを済ませた彼は、表情を変えないまま指定された部屋に入っていった。
荷物を乱雑に置いて、近くのソファに座る彼。
康「Aさん、」
「ん、？」
康「僕今日、全部出し切るんで。」
「う、うん、がんばって、」
そう言って構えたマイク。
連れて来られたのはカラオケだった。
あーーーーーーー！と大きな声で叫ぶから、独特のキーンというハウリングに耳がやられそうになる。
康「もう！何があかんねん！優しすぎるから！？はぁ！？そんなん言われてもこれが俺やねん！！」
....荒れてる、
まぁ、無理もないよね。
なんて思ったのも束の間、失恋ソングを歌って号泣する彼。
康「Aさん、」
ズッと鼻を啜った彼が私の名前を呼んだ。
「ん？どうした？」
康「隣、行ってもええ、？」
「....うん、」
ピッタリとくっついた彼は、鼻を啜りながら俯いている。
そんな姿を見ていられなくなった私は、ポンポン、と頭を撫でた。
康「Aさぁん、」
「今日だけいっぱい泣きな。明日休みだから、目腫れても大丈夫だよ。」
なんて、いい先輩ぶって。
下心しかないのに。
頭を撫でる手には、彼への慈愛と煩悩が滲み出す。
ふわふわの髪が手のひらをくすぐる度に、思った以上に近い距離感にいられる喜びを感じてしまう。
そんな手につられてか、彼がポスッと音を立てて私の肩に顔を埋めた。
康「....Aさんやって、ツラいはずなのに、.....弱くてごめんなさい、」
「ん、？私？」
康「同じ、失恋仲間やろ？」
そっか、
向井くんのことで頭がいっぱいで、彼氏にフラれたことなんて記憶から抜け落ちてた。
「....うん、仲間だね。」
康「ツラいな、」
「うん。」
康「なんも、悪くないやんな、」
「うん。」
康「Aさんも我慢しなくてもええんやで、」
「....うん、」
ごめんね、向井くん。
私、こうして貴方に頼られてることが嬉しくて仕方がないの。
貴方の悲しみに寄り添ってあげられるような良い人じゃなくてごめんね。
.
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cleam(プロフ) - ちなこさん» コメントありがとうございます！毎日読んでもらえてるんですか....！めちゃめちゃ嬉しいです（ ; ; ）素敵って思ってもらえるように描けてよかったです！ありがとうございます！ (2021年3月29日 20時) (
レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - みうさん» コメントありがとうございます！こちらのお話はさくまくんがかなり切ないポジションですよね（ ; ; ）「うわあああ」ってなってもらえてよかったです（ ; ; ） (2021年3月29日 20時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
ちなこ(プロフ) - cleamさんの書かれるお話が好きすぎて1日一回は読んでます！！！こーじくん素敵すぎて惚れ直しました…（） (2021年3月27日 2時) (レス) id: 3adce2c6d7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - うわあああさっくん(TT)(TT)ってなりました素敵です(TT)(TT)(TT) (2021年3月26日 16時) (レス) id: 90ad8ea26a (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - のびさん» コメントありがとうございます！さくまくんの一途さ感じ取っていただけて嬉しいです◎さくまくんのリクエスト何件かいただいてるので、またいつか出させていただきます＾＾ (2021年1月23日 14時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cleam
| 作成日時：2021年1月3日 13時
