＿＿＿＿１５ ページ15
You side.
私は一度ぎゅっと目を瞑って、彼の腕に手を掛けた。
「はーい、おしまい！仕事だぞ〜」
右下に視線を移しながら彼をそっと引き剥がした。
康「はぁーい。」
下唇を出しながら、少し不満そうにする彼。
そんな顔しないでよ。
閉じ込めようとしてる想いが出てきそうで困ってるのに。
「この甘えんぼめ〜！仕事しろ〜！」
なんて、大袈裟に笑いながら彼の頭をわしゃわしゃっと乱した。
康「あーちょっとぉ！今日ええ感じに決まっとったのに〜！」
パパパッと前髪を整える彼。
そんな姿さえ可愛らしく思える。
彼の髪に触れた右手がなんだか少しだけ特別な感じがして、苦しかった。
大「A〜」
この苦しさをどうしようかと悩んでいると、ドアに手を掛けた佐久間が私を呼んだ。
「んー？」
大「ちょっと手伝ってくんない？」
「あーうん、」
私は呼び出されるがまま、佐久間の後について資料室に向かった。
「どれ？手伝うの。っ、な、なに、」
資料室に追いやられ、ポケットに手を突っ込んだ佐久間が私を見下ろした。
大「....何してんの？」
「何って、」
大「なんでこーじにくっつかれてんの？」
「いや、あれは挨拶って言うか、そんな深い意味はなくて、」
大「あんな苦しそうな顔しといて？」
「....それは、」
大「気持ち、しまっとくんじゃなかったの？」
「そう、なんだけどさ、」
大「自分から傷付きに行くなよ。」
「....うん、ごめん、」
大「俺に謝っても意味ないし。」
「だって、佐久間怒ってるから、」
大「え....」
ハッと我に返ったかのように目を見開いた彼はまるで自分が怒っていることに今気付いたかのような素振りを見せた。
大「え、あ、ごめん！あーーー待って。今の無し！もーー何してんだよ俺ぇ....」
「ちょ、ちょっと佐久間、頭、」
私の言葉を無視して頭をガンガンと壁に打ち付けている。
大「先戻ってて....」
「え、手伝いは、」
大「それやっぱいい....もうだいじょーぶ....」
こちらを見ずに手だけヒラヒラと手を振る彼を横目に資料室を出た。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1728人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cleam(プロフ) - ちなこさん» コメントありがとうございます！毎日読んでもらえてるんですか....！めちゃめちゃ嬉しいです（ ; ; ）素敵って思ってもらえるように描けてよかったです！ありがとうございます！ (2021年3月29日 20時) (
レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - みうさん» コメントありがとうございます！こちらのお話はさくまくんがかなり切ないポジションですよね（ ; ; ）「うわあああ」ってなってもらえてよかったです（ ; ; ） (2021年3月29日 20時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
ちなこ(プロフ) - cleamさんの書かれるお話が好きすぎて1日一回は読んでます！！！こーじくん素敵すぎて惚れ直しました…（） (2021年3月27日 2時) (レス) id: 3adce2c6d7 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - うわあああさっくん(TT)(TT)ってなりました素敵です(TT)(TT)(TT) (2021年3月26日 16時) (レス) id: 90ad8ea26a (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - のびさん» コメントありがとうございます！さくまくんの一途さ感じ取っていただけて嬉しいです◎さくまくんのリクエスト何件かいただいてるので、またいつか出させていただきます＾＾ (2021年1月23日 14時) (レス) id: d9a9e1fa04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cleam
| 作成日時：2021年1月3日 13時
