30までには結婚したいと言ったら (ページ48)

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30秒の奇跡ページ48

五条悟視点

「…なんて？」

『だから…付き合って、ください…って…』

「…？？？」

冬の誕生日、真夜中にノック音が響いた。俺は勿論寮住みなんで傑か硝子が来たのか？なんて思って扉を開けたら…立っていたのはA。

何か覚悟を決めたように俺を睨んだら開口一番に『付き合ってください』と…

「…ん？俺達って付き合ってなかったの？」

『…書類破いたじゃん』

「あぁ！」

ポン、と手を叩く。そう言えば…自然な感じでデートに誘われて…誘われ…

あれ？俺からデートに誘ってなくない？好きとか、結婚とかほざいてたのに一度もなくない？

挙句の果てにはあっちから話を切り出される始末。情けなさすぎるぞ五条悟。

「…それってさ誕生日プレゼントは私です！ってやつ？」

ちょっとだけ興奮気味に言うと少し冷えた手が俺を押し返した。

『いや、普通にプレゼントはある。どうぞ』

期待した俺が馬鹿でした。そうですよね。付き合って数分で合体とかどんなクズだよ！……って数年前の俺ですね。

『誕生日おめでとう』

「お、おぅ…」

消灯時間は過ぎてるから辺りは暗く、廊下の窓から肌寒い空気が流れた。

「…暖まってく？」

『そうしたいのは山々だけど、報告書まだあって締切が……だからごめんね』

「いいんだけど…」

『じゃ、お休み』

「お休み……って待て待て」

颯爽と帰ろうとするアイツの腕を掴む。掴んだ腕は冬だというのに妙に暖かく…暗くて見えづらいがコイツ絶対照れてる。

「あ、あのさ…返事…今じゃなくていいの？」

『えっと…それは……私が恥ずかしいっていうか…その…』

「なんだか前と逆転してるな」

前は俺が開口一番に婚姻届渡して記入しろって言ったんだっけ。

「俺からも…つ、付き合って…クダサイ…」

童貞じゃないのに、コイツの前ではどうも調子が狂う。