30までには結婚したいと言ったら (ページ45)

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『はぁいもしもし』

「はぁいもしもし…じゃねぇよ、お前今どこだよ。一週間も居ねぇじゃん」

『え？前にいなかった方が長くなかった？』

私が禪院……伏黒甚爾を見て命からがら逃げ出したときの方が期間は長かった筈。

『私は普通に仕事して「普通に仕事？寮の部屋を片付けてか？」うん』

気付くのが案外遅かったなぁなんて思いながらソファで足を組む。新しく飼った猫がなぁんと私の膝に乗ろうとする。

「お前どこにいんだよ」

『新居。いいお家買った…ってか貰った』

活動拠点が変わった。高専から普通の家で。

『上からの推薦で私、フリーの呪術師として働いてるんだよ』

「操り人形は辞めたんじゃなかったのかよ」

『そうだよ？これは対等な立場での推薦だからね』

じゃなきゃタワマンの一室なんて貰えないよ。

「…帰ってこいよ」

『やっぱり寂しんぼだ、悟くんは！』

「寂しんぼでも何でもいいから…不安なんだよ」

『私がいなくて？』

「……」

無言は肯定だって教えてもらわなかったの？

「そ、それに…硝子とか傑とかも寂しがって…！」

ふと話に違和感を感じた。

『…あの…もしかしてだけど悟メール見てない？』

「…はい？」

二日前のメールを確認する。これも新しい携帯。

『…うん。悟に送ってる』

「何が？」

『住所だよ』

「来てねぇよ」

『……新しい番号にしたんだけど』

どうせ悟のことだから「知らん女か、無視しよ」的な感じで無視してたんでしょうね。

『ぷぷー！私に書類確認しろって言った割に悟くんはメール確認してないんですねー！』

「はぁ！？……来てるし！！」

ちょっとお馬鹿な悟を可愛いと思ってしまった。傑が可愛いなら悟だって可愛いんだろう。図体とか関係ないから、私の中では。