30までには結婚したいと言ったら (ページ11)

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夏油傑視点

毎日つまらない様な顔をして学校生活を続けている割には外では甘い物食べ歩きして幸せそうにしてたり…

振り返るとこの時私ストーカーまがいな事やってたんだよね。

『…何やってんの？』

「え、あ…ごめん」

『謝るようなことしてたの？』

もぐもぐとドーナツを食べながら問う。

「こ、この前さ幽霊？みたいなのの…話を聞きたくて」

変な奴だと思われたらと正直ビビってた。だけどAはニコッと笑って私の手を引いた。

『いいよ！何でも話してあげる』

「あっ」

その後は色々なことを話した。幽霊の正体、術式の使用方法、祓い方…

思えば君は私に呪術のいろはを教えてくれてたね。そのおかげで今の私がいる訳なんだけど。

『…傑？』

「ん？何？」

『いや…疲れた？』

「そうだね。ちょっとだけ」

ちょっとだけって君に弱さを見せると君は必ず私にこれを渡す。

『はい。ドーナツ』

「…半分こしようか」

『いいよ。どれにする？』

二人だけでの小さなお茶会。それは疲れた心を少し和らげる魔法。

Aが入れる紅茶はいつも美味しい。聞けば私に飲んで欲しかったからと練習したらしい。

「逆に昔の渋い紅茶が恋しくなったな」

『過去の事は掘り返さないでよ…！恥ずかしい』

また布団に包まる彼女。こんな少し紅くて情けない顔は君には見せたくないから良かった。