３１３：あんなのより ページ33
「だからさ？教えてよ。お前が泣いてる理由をさ？」
潤くんの胸からゆっくり顔を上げると、優しく細めた目が私を見つめてて。
『ん？』って目で優しく問いかける。
「…ドラマ…。」
「ん？ドラマ？見てくれたの？」
『珍しいじゃん』って嬉しそうに笑う潤くんは、やっぱり全く内容は気にしてない様で。
当たり前か…仕事だし。
「そっか。そういう事か。なんだ…よかった。」
それだけでわかったのか、やっぱり嬉しそうに笑ってる。
「…よかったの？」
「あぁ。大した事じゃなくてよかった。」
「大した事だよ！潤くん…お仕事なのに…。こんな…子供みたいな我儘…。」
こんな醜い私見られたくなくて、また潤くんの胸に顔を押し付けて隠した。
「あぁ〜…もぉ〜可愛いなぁ。」
嬉しそうに弾んだ声で言った潤くんが、ゴロンと転がり私の上に移動したと思ったら、息つく間もなく唇を押し付けてきた。
可愛い？どこでそう思うの？
なんて頭の中で思ってたら、
「A。俺に集中して。あんなのよりすげぇキスしてやっから。」
唇をくっつけたまま、そう言ったかと思ったら私の唇を一周舌でなぞった。
その舌をいきなり私の口の中に差し込んで…。
甘くとろける様な潤くんのキスに、潤くんの事しか考えられなくなって、首に手を回ししがみつく。
重ねられた唇からは惜しみない愛情が伝わってきて。
チュッと音を立てて離れた唇…。
「フッ…可愛い。」
優しく微笑むと、頬にもキスをされて額をコツンと合わせた。
「俺…お前の身体は隅々まで攻略済みだからな？」
「…もぉ…。」
「お前に嫉妬されるのも悪くない。やみつきになりそ。毎週ドラマ見とけよ。」
『ふふ』って軽く笑った潤くんは、本心なのか嬉しそうで。
「…イヤじゃない？嫌いに『なるわけねぇ』」
「お前は俺に当たらないで、頑張って自分で処理しようとしたじゃねぇか。だから…いいんだよ。」
何が『だから…いい』のかは、イマイチよくわからないけど…。
「俺ばっか嫉妬してんのも割に合わねぇしな。」
「うん？」
「お前、先週ニノとリーダーと飯食い行ったろ？」
「うん。」
もちろん明日美も一緒で、しかもマスターの店。
大野さんは二宮さんが連れて来た。
「俺はドラマの間はずっとそんな事できないし、してやれねぇのに…他人がダブルデートっぽい事…。」
あからさまに不貞腐れた潤くん。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年12月21日 16時
