３１０：甘えんぼ ページ30
結婚を発表してからというもの…
その話題性を使った仕事も増えて。
年末の歌番組の特番で曲目がシングル曲から『One Love』に変更になり…
目立ったのはそれくらいだったけど、雑誌のインタビューもドラマ関連のインタビューのはずが絶対に結婚の事とAの事を聞かれ。
まぁ…その程度の犠牲でAと結婚できるんであれば安いもんだ。
年末の大役も無事に終えて…
「ただいま。」
「おかえり。大役ご苦労様でした。」
明け方にも関わらず玄関先で出迎えてくれたAを抱きしめる。
「はぁー…。癒やされる…。」
背中をゆっくり撫でてくれるA。
「潤くん？お風呂入ろ？」
「…あぁ。支度しねぇとな。」
朝一の便で日本を発ってAの両親の元に挨拶に行く。
今回は一緒の便で、席も隣にしてもらう予定。
靴を脱ぎAを抱き上げて風呂場に向かう。
「お風呂入って少し仮眠取る？」
俺に服を脱がされながら、心配そうな目で俺を見てる。
「いや、平気だよ？」
肉体的より精神的に疲れた感じ。
俺の服はAが脱がしてくれて。
「お疲れでしょ？」
「ん〜…Aが癒してくれる？」
「どうやって？」
わかってて首を傾げながら俺を見上げそう言う。
「教えて欲しい？」
「ふふふ。遠慮しとく〜。」
「んな遠慮すんなよ。」
お互い服を脱がし合って、裸になった所で風呂場のドアを開けてAを抱き上げた。
俺の首筋に腕を回してチュッとキスをくれる。
「どう？」
「ん〜…全然たんない。」
抱いたままお湯に浸かりAの首に唇を押しつけた。
「ココは嫌よ？」
「…ん？聞こえない。」
「聞こえてるじゃない。」
「…いい匂い…。」
「…っ！潤くん！そこはダメ！」
大丈夫…。
付かない程度に抑えてるから…。
「…A？」
「うん？」
「…好きだよ…？」
「どうしたの？いきなり？」
Aの戸惑う声が耳元から聞こえて。
「何でもね…。ただ言いたくなった。」
「ホントどうしたの？拗ねた？」
Aからの『大好き』が聞きたかっただけ…なんて言えない…。
唇を首筋に押し付けたままで小さく首を振る。
けど…そんな事したってAにはバレバレで。
「ふふふ。潤く〜ん？」
ほらな？
「ね？甘えんぼ潤くん？お顔上げてください？」
完璧子供扱い…。
「ちゅぅしてあげるからお顔あげよっか？」
俺の背中を撫でて…。
ゆっくり顔を上げると、素早くキスが落ちてきて『大好きよ？』って極上の笑顔を俺にくれた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年12月21日 16時
