２０９：右手におみやげ ページ9
「ねぇ…友梨ちゃんにあんなこと言っちゃっていいの？」
潤くんに腰を抱かれながら、シャンパンを呑み…。
「うん？」
「友梨ちゃんはまだ小さいから、何でも鵜呑みにするよ？」
「いいよ。別にかまわない。嘘言ってるわけじゃねぇしな。」
それはそうだろうけど…。
そんな具体的に『お嫁さん』とか…ね？
「それに子供には、俺らの立場とか…そんなん言ったって理解できねぇだろ？一緒に住むイコールお嫁さんなんだろ？友梨ちゃんの中では。」
「…まぁ。」
『彼女』と『お嫁さん』の違いとか、『付き合う』と『結婚』違いが理解できてるとは思えないし。
「だから…あれでいいんだよ。俺は嘘を言ってるつもりねぇし…。嘘にするつもりもねぇよ？」
「…。」
「ここで俺が嘘にしたら、友梨ちゃんの中でずっと嵐の松潤は嘘つきになっちまうしな。」
『はは』って笑いながら言った。
空のグラスをコトンとテーブルの上に置くと、ソファを立ち、『ちょっと待ってて』とリビングを出て行った。
テレビもついてないから、そういった雑音がしない少し薄暗い室内で、薄いピンク色のシャンパンの小さな気泡をジッと見つめてると、背後でドアの開く音がして。
「…お待たせ。」
潤くんが隣に戻って来たから、私もグラスをテーブルに置いて、潤くんのグラスにシャンパンを注ぐ。
「A。」
「ん〜。」
シャンパンを注ぎながらだから、視線はそのままグラスで…。
「…A。」
もう一回静かに名前を呼ばれ、ボトルをテーブルに置いて潤くんを見る。
「ん？どうしたの？」
「…右手出して？」
「ん？ふふふ。なぁに？」
笑いながら手のひらを上に向けて右手を差し出す。
「違う、こっち。」
クルッと手のひらを返されて…。
「ん？」
何をされるのかわからなくて、潤くんの目を見つめててたら…
「おみやげ。」
ってそう言ってポケットから出した指輪を薬指に嵌めてくれた。
突然の事で理解できなくて、指輪と潤くんを交互に見る。
「よかった…サイズピッタリだ。」
「…潤くん？」
「…深い意味はない…とは言い切れないけど…ただのおみやげだと思って？」
「…。」
『おみやげ』って…。
「Aの華奢な指によく似合ってる。」
そう言って、指輪にチュッとキスをする。
顔を上げた潤くんは…目を細める優しい笑顔を浮かべていて…。
けど、私の顔を見て、
「…泣くなよ。」
って困った様に眉を下げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 426人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
