２０６：本当の幸せ 〜J〜 ページ6
パリに来て自由時間にリーダーと買い物に出かけた。
「リーダー？メンバーに何買ってく？」
「ん〜…変なモン。相葉ちゃんのTシャツ並に。」
「金の無駄だ…。」
リーダーには頼らず、街中を散策しながらメンバーへのお土産を探してた。
ふと…目に入ったある店舗。
「リーダー…？ちょっとさ…いいかな？」
指差した先を見たリーダーはふにゃって笑って頷いてくれた。
さすがのリーダーでも、何の店かわかるらしい。
誰に買うのかも…。
日本でその店に入るほどの気は使わなくてもいいけど…一応…。
ハットを深めに被りサングラスをした。
こんないで立ちだからか、ちょっと店員が不審そうに見てるけど…。
「これ可愛いじゃん？Aちゃんに似合いそう。」
「…だな。」
ハートの定番商品から、高級な物までひとつひとつのショーケースをじっくり見て。
ひとつのショーケースの前で足を止めた俺を、先を歩いていたリーダーが不思議そうに振り返った。
俺の視線の先に気づいたリーダー。
「…んふふ。それ買う覚悟できたん？」
「まだ…ぼんやりとだけどな。」
「嘘つき。とっくにあるクセに…。」
視線はずっと…その眩しいくらいキラキラ輝く透明な石で…。
「どうだろ？…ただ…やっぱ…A以外とは考えらんねぇな。」
「それを覚悟と言わず何て言うの？」
「そんな大層なモンじゃねぇって…。」
ただ…好きで…。
ただ…愛してて…。
ただ…一緒にいたい…そばでAを感じてたい。
けど…その延長線上には…きっと。
そこに辿り着くまでには、Aに…もちろん俺にも乗り越えなきゃならない山はたくさんある。
「…松潤？」
「うん？」
視線をそれからリーダーに移して…。
「オイラ達の事は気にしなくていいからね？」
「…。」
「皆、松潤とAちゃんの味方だし…いつだって…どんな事も五人で乗り越えてきたじゃん？」
そう言って…いつものふにゃふにゃ笑顔。
「今度こそさ？Aちゃんに本当の幸せ感じさせてやってよ。松潤なら…松潤しかできないじゃん？」
俺の背中を叩くと歩き出す。
「んで？おみやげどれにすんの？」
「…どれにすっかなぁ。」
ちょっと油断すると、泣きそうになるのを誤魔化す様に足早に歩きリーダーを抜かす。
きっとそんな俺に気づいてるリーダー。
「これ可愛いよ？」
「…だな。けどリーダー選んだのじゃイヤだ。」
「んじゃ、早く決めなよ〜。」
…ありがとう。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
