今日…僕は恋をした Part.６ (ページ39)

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２３９：７月７日ページ39

７月７日…七夕…。
大河の命日。

『大河が事故で意識不明』

大河がうちに来るのを今か今かと待っていた私に届いたのは…大河の笑顔じゃなくて…その連絡。

わけもわからず、部屋着のまま飛び出し強い雨の中、大通りまで走ってタクシーを拾った。

タクシー中で、目を瞑り左手の指輪をギュッと握りしめて、ただ早く大河の所に行きたいと、会いたいと願った。

病院に着き、走って走って走って…。

けど…大河は私を待っててはくれなかった。

ベットの横で泣き崩れるお母さんを、お父さんが支えてて…そんなお父さんも泣いていて…。

…私は…大河のそばに行こうと一歩踏み出したけど…

『あんたの所為で！こんな大雨の中、あんたに会いに出かけたばっかりに！』

って憎しみの篭った目を向けられて、それ以上近づく事もできなかったし…

ご両親に合わせる顔が無くて…お通夜もお葬式にも出席できなかった。

だからかな？
大河の死を受け入れられなくて、どっかでまだ大河は生きてるんじゃないかって…。

そう思って…指輪は外せなかった。

『A。遅くなってごめん。』

っていつも遅刻する大河が私の部屋の玄関のドアを開けるんじゃないかって…。

まるで大河が生きてる様に振る舞い、結婚式の話しや準備をする私を、お兄ちゃんが、

『A！大河は死んだ！もう帰って来ない！』

って怒鳴って私の頬を叩いた時に初めて涙が出た。

…大河が亡くなって二週間後の事…。

「大切な人を失うのがすごく怖くて…潤くんからも逃げた。けどね？やっぱり…潤くんだけじゃなくて、周りの人も傷つけるのが怖かったの。」

「…あぁ。それがお前の最大トラウマだろうな。」

「特に潤くんは…少し特殊な仕事で。私がいる事で迷惑をかける人がたくさんいる。」

事務所の皆さん…嵐さん…それからファンの皆さん。

「でもね？」

「うん？」

「…離れたくない。」

ギュッと潤くんにしがみつく。
そんな私をキツく抱きしめながら、背中をゆっくり撫でて宥めてくれる。

「離さねぇよ。絶対に離さない。」

「…ごめんね？我儘で。」

「そんなの我儘って言わねぇだろうが。」

「…そっか…な。」

「あぁ。」

このあったかい腕の中は誰に譲りたくないし、私だけが独り占めしてたい。

そんな事を私ボソっと言うと…

「この先もずっとお前専用だ。」

って低い声で…でも優しくそう言って、私を自分の胸に押し付けた。