２３７：衝撃の事実 〜J〜 ページ37
チーフが…大河さんの父親？
衝撃の事実に…唖然呆然の俺。
けど…俺らには滅多に見せない柔らかい笑顔に、段々と冷静になってきて。
「…チーフ？もしかして…俺の相手がAだから…？Aだって確信してたから？」
俺の質問にも微笑みだけで返事で。
そう…どっかで違和感あったんだ。
違和感を感じてた。
先輩の話しを聞いていたし、彼女を認めてもらうのも大変で…同棲なんてもっての他だって。
実際、俺もキツイ事を散々言われたし、簡単には認めてもらえなかった。
けど…最後の最後は…、
『お前が彼女の全てに責任が持てるならいい。』
と…チーフの一言で周りの幹部も納得せざるを得なくて。
嵐とメンバーにじゃなくてチーフは『彼女に』と言った。
「Aちゃん？大丈夫。君の選んだ男は大丈夫だよ。君をちゃんと幸せにできる男だよ。」
「…はい。わかってます。」
「ははは。そうか。」
「…チーフ…。あの…『松本』」
俺が何を言うのか察知したのか遮られて。
「勘違いするな。お前だけ特別扱いしたわけじゃない。」
俺には…口調も厳しいのな。
「ただ…俺達に真っ向から向かってきた根性を買ってやったんだ。」
「…はい。」
「隠れて付き合う事もできたのに、お前はそれをしなかった。そこを認めてやっただけだ。」
「はい。ありがとうございます。」
俺がしてきた事は間違えなんかじゃなくて。
そこを認めてもらえた。
そこまで頑張れたのは、やっぱり根本にはAを思う気持ちがあって。
「…少なからず公私混同した俺は…偉そうに言える立場じゃないけどな。」
ボソっと言ったチーフ。
「Aちゃん？君の幸せを大河もきっと願ってる。相手がこんな仕事じゃ苦労も我慢もすると思うけど…。ひとりの人間として…男としては申し分ない。」
頷くだけのAの頭を撫でてやる。
「俺のもうひとりの息子…よろしくな？」
「…はい。」
Aを見る目はやっぱり優しくて。
けど…俺には鬼のチーフの目を向ける。
「松本。」
「はい。」
「約束は守ってもらうからな。」
「はい。わかってます。」
『写真だけは絶対撮られるな。撮られた時点で同棲はやめさせる』
それがチーフの出した条件。
俺の為だけじゃなくて…多分、Aの為でもあって。
けど…『別れさせる』とは言われなかったんだ。
そこにチーフの思いの重さを感じた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
