２２７：糖度 ページ27
呆れ顔のまどかと、興奮気味の明日美。
「A、ここ。」
潤くんが椅子を引いてくれて。
「ありがと。」
座って立っている潤くんを見上げて言うと、微笑みながら頭をポンポンとしてくれて私の隣に座る。
雅「糖度が増してる…。」
翔「まぁまぁ。『お前以外愛せない』だから(笑)」
面白がって言う櫻井さんに、
「そうだよ。俺はA以外愛せないんだよ。」
メニューを眺めながら平然と言う潤くん。
「じゅ…潤くん？」
唖然とする私に、目だけで『いいんだよ』って言ってる。
つまり、黙っとけと…？
そういう事？
「お嬢ちゃんも、これでいいかな？」
マスターが各自に呑み物を持って来てくれて。
静香ちゃんには、イメージで作ったのか淡いピンクのカクテル。
静「はい。ありがとうございます。」
「そんな強くしてないからな。」
マスターが優しくそう言って。
ま「マスター？私にはそんなに優しくないじゃない。」
「そうか？俺は可愛い若い女の子には弱いからな。お前らもそうだろ？」
『ははは』って笑いながらお酒を配るマスター。
明「つまり…私Aとまどかは、その対象外って事？」
和「ククク。だな？」
ま「まったく。常連客に…失礼な店主ね。」
まどかがタバコ咥えて火をつけて。
「まぁ、Aは綺麗だからな。対象外で当たり前だ。」
メニューに視線を向けたまま、そう言った潤くんを一斉に皆見る。
智「んふふ。もう酔ってんの？」
「酔ってねぇよ。事実を言ってるだけだ。俺は可愛い所も知ってるけどな。…A？何食う？」
やっぱり平然と言う潤くんは、私にメニューを見せる。
「なぁ、俺、これ食いたい。」
指差した先を視線で辿る。
「うん。美味しいよ？」
「あ…でも…お前こっちのがいい？」
「ふふ。大丈夫。潤くんの好きな方でいいよ？」
メニュー見ながら、背中回した腕で頭をポンポンする。
つまり…『了解』って事。
頭にあった腕が、そのまま肩まで下りてきて…そこで止まる。
メニューから視線を上げると、シーンとなったまま、皆が私と潤くんを見ていて。
恥ずかしくなって俯く。
「じゅ、潤くん？」
小声で言うと
「ん？どうした？」
って私の顔を覗き込む。
「…は、恥ずかしぃ…。」
「うん？」
「…皆が…。」
そこまで言って顔をあげた潤くん。
「んだよ？」
和「イチャイチャ…。呆れてんの。」
「イチャついてなんかねぇよ。したきゃお前もすりゃいいだろうが。」
翔「と、とにかく乾杯しよう。」
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
