２２１：心当たり 〜J〜 ページ21
あぁ〜もぉ〜俺って…カッコ悪い…。
Aを抱きたい感情のまま突っ走って…。
３０になろうっていういい大人が、１５、６のガキじゃあるまいし…。
「A？どうした？眠い？」
さっきから黙りこくったままで…。
「ちょっと頭痛い…。」
「ん？薬飲むか？」
「…さっき飲んだ。」
リビングのソファの上で、俺の膝に乗っかり抱きつくAの身体を少し離して、顔を覗き込む。
「…お前…体調悪かったんか？」
「…ううん。そんなでもないよ。」
「鎮痛剤飲んでんだろ？無理すんな。ベット行くか？」
「ううん。抱っこしてる。」
首にギュ〜ッと抱きつくAの頭を撫でてやる。
体調がすぐれないAに俺はなんて事を…。
更に罪悪感が襲ってきて自己嫌悪…。
「…ふふふ…気持ちよくて眠くなりそう…。」
「なら、やっぱベット行こう。」
「…イヤ。」
「A。我儘言わないの。」
「イヤ。抱っこしてる。」
まぁ…なんだかんだで甘えたなAが可愛くて、俺も手離せないんだけど。
「風呂入るか？」
「…ダメ。お風呂入れないの。」
「ん？なんで？」
頭をポンポンってして『風呂行こ』ってAを抱いたまま立ち上がる。
「潤くん！ホントにダメなの！」
Aが大きな声で言うから、さっきの事もあり、素直にまたソファに戻る。
「ん？Aちゃんはどうしちゃったのかなぁ？」
もしかして…さっきのお仕置きで、一緒に風呂入るのも暫くお預け…？とか？
「ふふふ。潤くんぽくないね。」
「んな事よりどうして？」
少し身体離したAが、ちょっと恥ずかしそうに俺の目を見ると、腹を撫でた。
「…えっ…？」
マジで…？
いや…心当たりは…あり過ぎる。
…けどAは『大丈夫だ』って…。
あっ…だからさっきあんなに拒絶した…？
「ね？わかった？ちょっと我慢してね？」
「………。」
「…ん？潤くん？どうしたの？」
俺の顔を覗き込むA。
そうだ…まずやるべき事がある。
「俺、ちょっと出て来る。」
「うん？今から？どこへ？」
不思議そうに俺を見るAをギュ〜ッと抱きしめて。
「…俺、頑張って来るな。」
「ん？何を？今からお仕事？」
「いや…事務所行って来る。」
「そう。気をつけて？」
「あぁ。直ぐに許可が出るとは思えねぇけど…このコの為にもちゃんとするから…。」
そう言ってAの腹を撫でる。
「…『このコ』？」
「あぁ。」
全然喜んでられる状況じゃないのに…やっぱどこか嬉しい俺。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
