２１９：初めての… 〜J〜 ページ19
涙を堪えながら下から俺を睨みつける。
「お前…言っていい事と悪りぃ事あんだろうが。」
「知らないわよ！もう！どいて！」
ジタバタ暴れ出すAを力で押さえつける。
Aがこんなに感情的に怒った事なんてなくて…。
「お前は、マジで俺が他の女抱いてもいいんだな？」
「いいって言ってるでしょ！離して！」
ダメだ…。
ここで俺まで感情的になったら…。
そう思って…必死に冷静になろうと…
「もう嫌！潤くんなんてキライ！どっか他の女の子の所行ってよ！いくらでもいるでしょ？！」
「てめぇ…もっぺん言ってみろ！」
冷静になろうと思ってたのに…感情的に怒鳴って…。
「どうして？！何で潤くんが怒るのよ！」
泣くかと思ったAは、泣く事もせずにただただ俺を睨む様に見上げてる。
「お前…マジでふざけんなよ…。お前にそんな事言われて…俺が平気だと思ってんのか？」
「潤くんだって、私の気持ちなんて考えてくれてないでしょ？！お互い様よ！」
目をギュ〜ッと瞑り、大きく息を吸って吐き出した。
そういやぁ…初めてか…？
Aがこうやって感情むき出しにして、俺に言いたい事言ってぶつかってくるのも…
言い合いのケンカも…。
「A…どうした？」
「もういい…。」
俺が冷静に言った事で、Aも少し冷静になったのか…静かに返す。
「いいわけねぇだろ？」
「…いい。…もういいから離して…。私が出てくから…。」
俺から視線をずらし、顔を横に背ける。
「それで解決すんのか？…しねぇだろ？」
「いいの…もう…。」
「…A。俺は、お前にあんな事を言わせた原因を知っときたい。」
けしてAの本心じゃないって…そう信じてる。
「しつこいな…だからもういいって言ってるでしょ？」
「原因わかるまで聞くぞ？」
「もう怒ってません。解決しました。…これでいいでしょ？離して…。」
「A、お前マジでいい加減にしとけよ？」
本当は…久々に早く帰って来れてケンカなんてしたくない…。
今日は一緒にベットに入って、思いっきり甘やかしてやろう…そう思ってたのに…。
寝ているAに一方的じゃない…ちゃんとお互い『おやすみ』って言い合って眠ろうって…眠れるって…思ってたのに…。
「言ってくんねぇと…わかんねぇ事もある。」
Aの全部をちゃんと知っていたい…。
例えそれが俺にとって嫌な事でも、不利な事でも…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
