２１６：乙女ちっく 〜J〜 ページ16
ここんとこ忙しくて、帰るのはいつも深夜。
Aが寝た後…。
でも玄関を開けるまで、どっかで期待してる俺もいて。
わかっていても、真っ暗な部屋を見ると寂しくなったり…。
靴を脱いでまず向かうのは寝室で。
ベットサイドの間接照明に照らされたAがぼんやり暗闇に浮かんでて。
Aがいる事にホッと一安心して、ベットに近づき、頬にただいまのキスを落とす。
そうすると微かに笑うAが可愛くて可愛くて。
ん？今日はちょっと香りが…違う？
ベットの淵に座って、頭を撫でながら寝顔を見つめる。
それが最近の俺の日課。
頭を撫でながら、起きないかなぁなんて思ったり。
『ひとりで寝るの寂しい』って言うAに、買った細長いクッション。
それを抱きかかえて眠るA。
気持ち良さそうに寝息を立てるAの頬に、もう一度キスを落として寝室を出る。
早くAのそばに戻ってあげたい俺は、シャワーも最短で済ませて。
てか…俺がそばにいたいだけか？
髪も中途半端に乾かして、Aが洗濯して綺麗にたたんでくれてある下着とスエットのパンツだけ履いてキッチンへ。
冷蔵庫から水を取り出して、飲んでるとリビングのテーブルの上に見慣れないピンクのプラスチックのパッケージ。
なんだろ？って思ったけど、そんな事よりもAのが大事で寝室へ向かう。
俺が抱きしめて眠る為には、クッションが邪魔で。
このクッションをどうAから取り上げるかが毎日の悩み。
クイクイッとゆっくり下に引くと、Aが起きた。
悪いなって思いながらも、やっぱり嬉しい俺はウキウキした気分でAの隣に寝転ぶ。
そうすると、Aから擦り寄って俺に抱きつく。
クッションを抱いて寝てた時も可愛い寝顔だったけど、やっぱり俺の腕の中で眠るAのが何倍も可愛くて。
額にくっつけている唇を少し強く押し付けて、チュッとした音と共に唇を離すと、寝ているはずのAがすっげぇ幸せそうににっこり笑った。
マジで…すげぇ可愛くて。
何の夢見てんのかな？って気になって。
できれば俺との夢がいいな…なんてガラにもなく乙女ちっくな事を思い…
俺もAとの幸せな夢が見られる様に、抱きしめる腕に力を込めて…
「おやすみ。」
もう一度Aの額にキスを落とした。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
