２１５：夢 ページ15
「ただいま…。」
潤くんにもらった合鍵でドアを開けて、そう言っても…返事は無いんだけど…。
シーンとしてる廊下を抜け…リビングのドアを開けキッチンへ…。
今日は潤くんのご飯はいらないから、簡単に煮込みうどん。
買ってきた材料をキッチンに置き、着替えと手洗いを済ませてから早速、準備に取り掛かってると、どこからか鳴る携帯。
バック…バック…。
「はい？潤くん？」
ーあぁ。もう家か？
「うん。今からご飯作ろうかと思って。」
ーそうか…。俺も弁当よりお前の作った飯のがいいな。
「そ？ありがと。でもね？今日は簡単に野菜とうどん煮込むだけだよ？」
仕事のある日に、毎日毎日手の込んだの作ってられないし…。
ーそれでも…俺はそっちのがいい。
「…ありがと。…潤くん？」
ーうん？
「大好きよ？もう少し頑張って？」
ーあぁ。お前のその一言で…俺、何だってできるよ。
「ふふふ。大袈裟ね。」
ー大袈裟じゃねぇって。お前はそんだけ俺にとって大事だって事だ。
「うん。ありがと。」
ーんじゃ、もうひと頑張りしてくんな？
そう言った潤くんと同時に電話を切って、夕飯の支度に取り掛かった。
・・・「わりぃ…起こしたか？」
ちょうど浅い眠りの時に、腕の中のクッションを引っ張られる感覚がして…。
「ん…おかえり。」
「ただいま。」
チュッとキスが落ちてきて。
「A、クッション頂戴？」
『頂戴？』と言われても差し出す訳でもなく、腕の力を抜くとクッションが下に引き抜かれる。
私の隣に滑り込んできた潤くんが、腕を通し易い様に少し頭を上げて、擦り寄り抱きつく。
「はは。今度は俺が抱き枕？」
「…ん。あったかい…。」
「ん〜…お前いい匂いがする。シャンプー変えた？」
「ううん。ボディクリーム。」
「あぁ。テーブルの上に置いてあったヤツか……美味そう。」
「…変態。」
「そういう想像するお前のやらしんじゃね？俺は『美味そう』しか言ってねぇよ？」
「…ドS。」
「それは否定しねぇわ。」
「…眠い…。」
『フッ』と軽く笑う声がして、
「おやすみ。」
って額に唇が寄せられて、頭を撫でられる。
「…おやすみ…。」
半分、寝ている頭でそう答えると…直ぐに夢の中…。
「フッ…寝ながら笑ってる…。こんな可愛い寝顔で…何の夢見てんの？なぁA？」
なんて潤くんの独り言は当然聞こえてなかったけど…
潤くんを感じながら見る夢はやっぱり潤くんとの幸せな夢…。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
