２１４：マスカラ ページ14
「静香ちゃん？色々ありがとう。それと…ごめんね？」
ロッカールームで会った静香ちゃんに、そういいながらお土産の愛用マスカラを差し出す。
「…いえ…。」
眉を下げて悲しそうな顔をして、手を出した静香ちゃんだったけど…
「Aさん！コレって！！」
指輪に目ざとく気づきロッカールーム中に響くくらい大きな声で言う。
「うん。彼がパリに行って…お土産。」
「…って事…は？」
「…そういう事。ごめんね？あんな事まで頼んでおいて…。」
「いえ！よかったです！」
そう言った静香ちゃんは、涙ぐんで私に抱きつく。
「ちょ、ちょっと静香ちゃん？！」
「Aさんのお友達から彼も必死に探してるって聞いていたので…。」
「ホントごめんね？嫌な役させちゃって…。」
本当に静香ちゃんには申し訳なくて…。
「いえ！大丈夫です！Aさんと彼が仲直りしたんで…それだけでいいんです。」
「あなたってコは…本当にいいコね？斉藤くんも幸せ者だ。」
「もぉ//やめてください。」
素直な静香ちゃんが可愛いくて…。
「ふふふ。羨ましいな。素直で可愛いくて。」
「もぉ…Aさん…ホントやめてくださいよ…。」
照れる静香ちゃんと、一ヶ月ぶりの私達の仕事場へ向かった。
・・・「Aさん！」
食堂でランチを取っていると、背後から声をかけられる。
声のした方を振り向くと幸恵ちゃんで。
「ん？…あ、ここ空いてるよ？どうぞ？」
自分の隣を指差す。
「違います！あ、それもだけど…！」
ん？なに？
幸恵ちゃんが私の隣に座ると…
「噂になってますよ？」
ってコソと耳打ち。
「うん？」
「ゆ・び・わ。」
フォークを持つ右手を指差す。
「あぁ。これ？」
「そうですよ！もう社内が大騒ぎ。」
「そんな…大袈裟な。」
「大袈裟なんかじゃないです！『いつの間に？』『どこのどいつ？』って…。皆知りたくて興味津々。」
『嵐の松潤で〜す』とでも言って回れって？
「というか…あなたもでしょ？」
『あ、バレた？』って顔で…。
「普通の人よ。」
嘘ではない。私にとって潤くんは普通の男の人。
「嘘！Aさんが、そんじょそこらの男と付き合う訳がない！」
「そんじょそこらの男よ。」
「嘘！絶対に嘘！まどかさんも静香も『イケメン』だって言ってました。」
んもぉ〜面倒くさい。
「なら、それでいいじゃない。すっごいイケメン。」
半分以上残ってるランチのお盆を持ち、立ち上がると逃げる様に食堂を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 426人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2013年11月7日 8時
