１６６：クッション 〜J〜 ページ6
風呂上がりのAは…
俺のTシャツに、自分の部屋着の短パン。
ダボダボのTシャツに短パンが全部隠れて…。
風呂を後から上がった俺はそのままキッチンに立ち、リビングにいるAを思わず凝視してしまった。
「…A。」
「うん？」
「その格好…。」
「ん？変？」
「ちげぇ。めちゃくちゃ俺好み。」
「…変態。」
呆れた視線を俺に向けて、ソファの上のピンクのクッションを抱える。
うちにピンクのモノなんて無かったけど、買い物に行ったインテリアショップに置いてあって、肌触りが良くてAにって思い買った。
当初の目的はAの枕を買おうと思ったんだけど…なかなかコレってのがなくて。
別にプレゼントな訳でもないし、Aの好みを聞いたら、
『私には枕必要ないじゃない。潤くんの腕枕があるし。』
ってにっこり笑って言われた。
あぁ、そっか…って素直に思った俺。
「ねぇ…どっかのゲーマーの歌って…コレ？」
テレビに映るDVDの画面を指差して言う。
「あぁ。わかった？」
「うん。紫のパッケージでしょ？…どっかのゲーマーって二宮さん？」
「そう。」
「…ピアノ弾けるのね…。」
「ちなみに作詞もだ。」
頷くAが画面の中のニノをジッと見つめててる。
窓から差し込む夕陽に照らされている横顔は、オレンジの光と、Aによってできる影のコントラストですげぇ綺麗。
パスタの準備も忘れて思わず見惚れる。
「ん？潤くん？」
不意に俺の方を見るA。
「あ…なんでもね。」
「そ？…ね？二宮さんってこんな綺麗な詞書けるのね。」
「意外か？」
「ん？…うん？」
「クク…お前わかりやすい。嘘つくのはやめといた方がいいぞ？直ぐバレる。」
包丁を持つ手元から、少し視線を上げるとちょっと頬が膨らんでいて。
「どうせ私は潤くんみたく演技できませんよ。」
ククク…拗ねた。
「んとに…お前は可愛いのな。」
鍋に入れたパスタをかき回しながら言うと、
「そんなんじゃ、誤魔化せません。」
ってプイッとする。
「A？機嫌直してやるからこっちおいで？」
「イヤ。潤くんが来ればいいでしょ？」
「いいけど…パスタが不味くなるぞ？」
膨れながらも横目でチラッと俺を見る。
「早くおいで？」
「…ずるい…。」
そう言いながらも、俯き加減でキッチンまで来たA。
そんな可愛いAの頬に手を添えてキスをすると、俺の背中に抱きついた。
「機嫌直った？」
「…ん。」
「そ？よかった。」
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
