２００：わかったの ページ41
メンバーさんが帰ってソファに並んで座る。
「潤くん？」
「ん〜？」
潤くんの肩にコテンと頭を乗せたままで問いかける。
「…不安にさせちゃってごめんね？」
「…。」
「もう…絶対逃げないから…頑張るから…。」
そう言って潤くんの膝の上に乗っかりギュッと抱きついた。
「私ね…わかったの…。」
「…ん？」
「１ヶ月離れてわかったの。」
「…A？」
「私…潤くん以外は無理みたい…。潤くんじゃなきゃダメなんだ…。」
わかってははずだった。
そんなのわかってたはずなのに…。
目の前の恐怖に負けて、一番大切な事を忘れてた。
潤くんだからこそ、一歩踏み出す事ができたのに…。
「ごめんね…。」
そう言うと、頭をポンポンとしてくれて。
「もう離れたくないの…。」
自分から別れを告げたクセに…。
どこまで私って我儘なんだろ。
「A？」
「ん？」
「その事をはっきりわかって、自覚してくれた。だったら、一ヶ月苦しい思いしたのも無駄じゃなかったな。」
やっぱり潤くんはどこまでも優しい。
「これから先…ずっと一緒にいる時間のほんの一ヶ月だ。」
「うん。」
「その一ヶ月で、お前の一生が手に入るんだったら… 全然無駄じゃなかった。」
そう言って頭を撫でていてくれた手を背中に回してギュッと抱きしめてくれる。
「大丈夫。もう…絶対離さない。」
「我儘ばっかでごめんね？」
「今までお前は聞き分けがよすぎたんだよ。もっと…言いたい事は言え。」
「うん。」
私が抱きつく腕に力を込めると、潤くんも真似してギュッてする。
首筋にチュッてすると、また真似する。
「好き。」
って抱きついたまま言うと、
「大好き。」
って言ってくれる。
私も、
「大好き。」
って返すと…
「愛してる。」
って低く掠れてる声だけど…とっても優しい声で囁いてくれる。
「ずっとこのままくっついてたいなぁ…。」
「…だな。」
「来週、潤くんパリ行っちゃうし…。」
「お前は一ヶ月、ニューヨーク行ってただろうが。」
「そうだけど…この部屋にひとりでって…寂しい…。」
「そうやって『寂しい』って口に出せる様になった…やっぱ無駄じゃなかったな。」
そう言って私を抱いたまま立ち上がる。
「んじゃ…風呂入って来週分頑張るか。」
「もう…。」
「やっぱ寂しくないように、濃いキスマークは必要だな。」
「…首はやめてね？仕事あるし。」
私の問いかけには微笑むだけの返事をした。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
