１６５：商品 〜J〜 ページ5
俺らはモテるとはちょっと違う。
「そうだなぁ…。『この服が好き』ってのと似た感覚かな？」
「ん？」
「『嵐の松本潤』は商品って事。」
「んん？」
理解できないのか、？顔のA。
「…可愛いなぁ。」
その顔が可愛いくて思わず呟く。
「ん？もっと意味わからない。」
「はは。いいんだよ。わからないなら。」
「…うん。」
納得してないのか、俺の目を上目遣いでジッと見て、何かを伺ってる。
「…それにな？その商品価値を守る為には面倒くさい事とか、諦めとか…色々あって。女の子も大変だってわかってるからさ。」
「…だからモテない？」
「そう。憧れとリアルな恋愛は違う。歳いけばいく程に女の子も夢から覚めて現実を見る。…結婚とか…子供とか。」
「…そっか。」
「それがわかってても…お前を手放せねぇ俺は…最低な男なのかもな。」
俺がそう言うと悲しそうに目を揺らすから、頬をゆっくり撫でてやる。
「…潤くん？」
「うん？」
「私…一緒にいられるだけで幸せよ？」
潤んだ目を隠す様にして、俺の胸に顔を埋める。
「…あぁ。俺も。」
「だから…ずっとそばにいてね？」
Aの切なげなか細い声に、胸が締め付けられる。
「あぁ。俺の方がお願いしたいよ…。」
背中に回した腕で、Aを限界まで引き寄せて抱きしめた。
・・・休みと言っても、外を歩くわけにはいかない俺達は…
「んもぉ！無理！」
「いいじゃん。俺、昨日お預けされたし。二日分頂戴よ。」
「イヤです。歩けなくなっちゃう。」
「俺がちゃんと運んでやるよ。」
…結局、一日中ベットの中で。
「イヤ。先にお風呂がいい。」
「え？風呂場がいいの？朝、風呂場で一回『バカ！』…いてっ。」
腕を思いっきり叩かれた。
「ククク…お前ってホントに可愛いのな。」
「もぉ！からかってばっかり！」
本格的に怒ったらしいAは、うつ伏せになって俺に顔を見せない。
「A？」
白い綺麗な背中をトントンと叩く。
「…。」
「ねぇ…Aちゃん？」
「…。」
「腹減ったろ？Aちゃんの好きなパスタ作ってやる。」
そう言うと、少しだけ顔をずらして左目だけで俺を恨めしそうに見上げる。
「ね？…だから…はい、おいで？」
手を差し出すと、やっぱり左手だけ乗せる。
「…抱っこ…先にお風呂。」
「ん。」
短く返事をして抱き上げた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
