１９７：朝もずっと 〜J〜 ページ38
Aとの電話を切ってため息…。
Aが戻ってきたっていうのに…不安は無くらなくて…。
また、いなくなるかもしれない…。
今度こそ二度と会えなくなるかもしれない…。
…きっと…Aの抱えてる不安やトラウマと似た感情なんだろうなって思う。
けど…うん…大丈夫だ。
そう言い聞かせて楽屋に戻る。
翔「そろそろ時間だぞ〜。」
翔くんがそう声をかけてライトが眩しい仕事場に向かった。
・・・「お疲れっす。」
雅「はやっ。」
和「愛しのAさんの手料理は何でしょうかね？」
思わずパッとニノを振り返ると、案の定ニヤリと笑ってる。
和「うちの明日美さんのお誘い断ったらしいっすよ？」
智「オイラも食べた〜い。」
いつの間にか、背後にいたリーダーが俺の服の裾を掴んだ。
「…離せ。」
智「オイラ、高級寿司よりAちゃんの手料理のがいい。」
「今度な？」
智「え〜今日がいい！」
「今日は俺の分しかねぇの。」
唇を尖らしていじけるリーダーの手を振り払い足早に楽屋を出る。
送迎の車に乗り込み、今から帰るよメールを送った。
「嬉しそうですね？」
「あぁ。これから朝もずっと機嫌いいぞ？」
「それはそれは助かります。」
そんなやり取りをして家路を急ぐ。
自分の部屋の前まで小走りで向かい、解錠をしてドアを開けると…
「おかえり。」
って笑顔のA。
「ただいま〜。」
靴も脱がずに玄関先で抱きしめる。
「ふふ。『おかえり』のキスいらない？」
「…欲しいに決まってんじゃん。」
少し身体を離すと、にっこり笑ったAがほんの少し背伸びをしてチュッと可愛いキスをくれる。
唇を離したAはやっぱりにっこり笑ってて。
こんな小さな事が本当に幸せで…。
「ん？潤くん？」
「いや…幸せだなって…さ？」
「ふふふ…うん。」
靴を脱ぎ、頷くAの手を取った。
「今日はね？ロールキャベツと…タコとエビとトマトのマリネ。」
「美味そうじゃん。」
「うん。張り切っちゃった。」
キッチンに向かうAが手を離そうとするから、ギュッと握って一緒にキッチンに入る。
「俺も手伝うよ？」
「いいの。大丈夫よ？温めるだけだから。」
「そ？じゃぁ…。」
後ろからAを抱きしめると、目の前には俺が昨日付けた跡が…。
「これ、来週までに消えっかな？」
「ん？」
トントンと指で押す。
「消えてもらわないと困るな。」
そうAが呟いた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
