１８８：そのままの君で… ページ29
連れ来られた先は…潤くんの部屋で。
ソファに私を座らせて、自分は私の前にしゃがみ込み、ギュッと手を握ると私を見上げた。
「もうさ？多くは聞かない。俺が知りたいのはひとつだけ。」
私の目をやっぱり真っ直ぐ見つめる潤くん。
「俺の事…どう思ってる？俺はそれだけ聞きたいんだ。」
言っても…いいのだろうか？
「A。俺は確信はあるけど、ちゃんとAの言葉で聞きたいだけなんだ。だから、深く考えないで思ってる事を素直に俺に頂戴？」
「…好き…大好き…よ？ずっと忘れようって…けど…やっぱり無理で…大好きで…。」
枯れ果てたと思っていた涙は、とめどなく溢れ出て。
「…おいで？」
潤くんが両手を広げて優しく微笑むから、躊躇なくその胸に飛び込むとギュ〜ッとキツく抱きしめてくれる。
「なぁ…もう…マジでやめて？ずっと…ずっと…死ぬまで俺のそばにいてよ…てか…離さねぇ。」
切なげな声と共に届く潤くんの匂い。
「…ご…ごめ…ぃ…。」
「俺も悪かったんだ。お前の不安に気づいてやれなかったし、お前の気持ち考えてやれなかった。」
「…っく…っ。」
「A？」
「…ひっ……っ。」
漏れるのは嗚咽だけで、上手く伝えられなくて。
「なぁ…A？もうさ？深く考えんな。お前はそのままのお前で…俺を思ってくれてるだけでいい。」
「…っ…ん…。」
「…マジで…そばにいてくれるだけでいいんだよ…。」
そう掠れた声で言った潤くんは、これ以上ないってくらいキツく抱きしめてくれる。
「もう…絶対に離さねぇ。お前はずっとずっと俺だけの…。」
「…っじゅ…く…。」
途切れ途切れに名前を呼んで潤くんのシャツを握り締めた。
「…A…。」
潤くんが私の名前を呼ぶ声はやっぱり切なげに掠れてて。
「…今、絶対的な事は言えねぇけど…。俺は今もこの先も…お前以外にあり得ない。俺がさ？未来の事を思うと隣には絶対に笑顔のお前がいるんだよ。」
って言ってくれる潤くんの声が震えてて…。
「もう…本当さ…頭がおかしくなるくらいお前が好きで好きで………愛してんだ。」
潤くんの言葉のひとつひとつに、私が迷い悩んでた事の答えがある様な気がして。
「…お前も何も考えずに…ただ俺を愛してれば
いいんだ。それだけでいい。」
頷く私から少し身体を離す潤君を見上げると、
潤くんの真っ直ぐな目が私を見てて。
少し傾け顔をゆっくり近づけたから、そっと目を閉じると、唇に潤くんの唇が重なった。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
