おまけ 〜翔〜 ページ28
お騒がせカップルが帰った後の空気は…
ちょっと微妙で。
今だによく状況が飲み込めなくて、唖然としながらも戸惑う友人。
「なぁ…翔？あれはドラマの撮影か何かか？」
「ドッキリカメラがどこかにあんのか？」
真剣に言う友人が面白い。
「いや、普通のカップルの仲直り風景。」
それだけ言って、すっかり氷が溶けて温まり、薄くなった飴色の液体を一気に流し込んだ。
「どっからどう見ても普通じゃねぇだろ？こんな人がいる所で『愛してる』なんて素で言えっか？『お前以外愛せない』なんて…。」
「また、美男美女だから絵になるんだよ。」
「あぁ。だな。嫌味が全くなかった。」
そんな事を言い合う友人達の会話を聞きながら、マスターにおかわりを頼む。
「でもさ？さすが松潤だよな。彼女のレベルが桁違い。」
「俺もそう思った。やっぱさ？あれだけの女を堕とすには松潤レベルじゃなきゃダメだって、いいお勉強になったわ。身の程を知れってさ。」
「おい、一応さ？俺も同類じゃね？」
『…翔がぁ？』
二人が一斉に俺を見て『あり得ねぇ』って目で言ってる。
んな！
俺だって嵐です！同じジャニーズです！
「翔と松潤…決定的に違う部分教えてやろっか？」
「聞いてやろうじゃないの。」
あぁ、聞いてやるさ！
「男度…かなぁ。」
「は？」
「だから、お前と違ってヘタレじゃねぇの。男の俺らから見てもカッコいいんだって！松潤って！」
「あぁ。お前は絶対『愛してる』なんて言えねぇだろ？」
「翔が言ってもサマになんねぇしな。」
ケラケラ笑う友人を睨む。
「はいよ。」
マスターが三人分、新しい酒を運んでくれて。
「潤から迷惑かけたお詫びだそうだ。ちなみにお前らの今日の呑み代も先にもらってんぞ。」
それだけ言うと、またカウンターに戻る。
「…やっぱさぁ…松潤かっけぇよ！」
「な！翔とは違う。正真正銘のイケメンだ。」
ねぇ…松潤？
色々、気を使ってくれたのは嬉しいけど…
俺…全く立場ないんですけど…。
けど…けどさ？
よかったね？
何物にも変え難い、大事な大事なモノを取り戻せて。
Aちゃんも…自分も信じた結果なのかな？
信じるものは救われる…って事かな…。
智くんじゃないけどさ、俺も一生懸命に恋をしたくなっちゃった。
俺もニノに紹介してもらおっかなぁ。
「んだよ？ニヤけて気持ち悪りぃな。」
「いいだろ？嬉しい事があったんだから。」
松潤の奢りの酒を一気に呑み干した。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
