１８１：ただ会いたくて 〜J〜 ページ21
今日も、Aの好きな匂いに包まれて眠る。
寝付くまで…
『どこにいる？』
『俺の所に帰って来て？』
『会いたい』
『好きなんだよ…』
『本当に俺には…Aしかいないんだよ？』
って瞼の裏のAに話しかける。
ゆっくりと手を伸ばした左側は冷たくて…。
ここにはAのぬくもりがあったのに…。
ひとりで眠る時には仰向けで寝ていたはずの俺は、Aのぬくもりを求める様に…
無意識に左側を向いて眠る…。
夢の中では笑顔のAに会えるし…
抱きしめたり…キスもできる…。
けど…夢の中ではAのぬくもりまでは感じる事ができなくて…。
だから…せめて香りだけでも感じていたい。
Aの好きな匂いだけど…
甘いAの匂いと混じった香りじゃなくて…。
Aを探す車窓から見える春を告げる桜は既に散って…
寂しさは…
ひとりでいると容赦なく俺を襲ってきて…
俺の胸を締め付ける。
鳴るはずもない携帯は…
常に手のひらの中で…。
送っても送っても返ってくるメールだけが受信BOXに増えていき…
電話口には、既に聞き慣れた機械調の女性の声。
わかってても繰り返すのは…
もしかしたら…
次こそは繋がるかもしれないと…。
Aもどこかで桜を見たのだろうか…？
俺と同じ様に…
寂しさを感じてくれてるのだろうか…？
…どこかで俺を…俺のぬくもりを求めてくれてるのだろうか…？
どこかで…ひとり涙を流しているのだろうか…？
今でも…俺を思ってくれてるのだろうか…。
なぁ…A…。
どこにいるんだよ…。
……会いたい……。
笑ってなくてもいい…
怒っててもいい…
泣いていてもいいから…
ただ…会いたいんだ…。
切なさで胸が締め付けられて…
息もできないくらい苦しくて…
その苦しさを逃がす様に大袈裟に深呼吸をして…
やっぱり大袈裟に息を吐く…。
俺がしっかりしないと…。
帰って来た時に、ちゃんとAを受け止めてやれる俺でいないと…。
そういい聞かせて、もう一度深呼吸をした俺の手のひらの中にある携帯が鳴った…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 425人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2013年10月21日 11時
