今日…僕は恋をした Part.５ (ページ14)

今日:36 hit、昨日:14 hit、合計:402,414 hit

１７４：意地悪～J～ページ14

そのノックに翔くんが返事して。

ドアが開かれて入って来たのは…早希…。

「あら、随分と暗い空気ね？」

和「どうしたんすか？珍しい。楽屋まで来るなんて。」

「ふふ。スーパーアイドルさんにご挨拶と思いまして。」

和「俺ら、今冗談言ってられる状況じゃないんすよ？空気読めないんすか？」

智「ニノ。やめとけ。」

リーダーがケンカ越しのニノを宥める。
この四人は俺と早希に何があったのか知っていて…。
それが原因で１０代の頃荒れたのも…。

コツコツとヒールの音がして、俯く俺の視線の先には真っ赤パンプスが見える。

「潤？」

「ん？」

俯いたまま、そう短く返事をした。

「お陰様で、なんとか修復できそうよ？」

「そうか。よかったな…。」

「ふふ。どうしたの？元気なさそう…だけど？」

「いや…寝不足。」

嘘ではない。
Aがいなくなってからずっと寝不足。

Aとの思い出が残るあのベットでは到底眠る事なんてできなくて、ソファでAの匂いのするピンクのクッションを抱きながら眠る毎日。

もう…クッションもAの匂いはしなくなってきて。

夢と現実の間をフラフラ彷徨う様な浅い眠りと目覚めを繰り返す。

「そ？気をつけてね？」

それだけ言うと身を翻し、またコツコツ音を鳴らしてドアに向かう。

「あ！そうだわ。あなたの彼女にも謝っといて？『意地悪しちゃってごめんなさい』って。」

…え？

思わずパッと顔を上げて早希を見る。
それはメンバーも同じ様で。

和「どういう事っすか？」

ニノが低い声でボソっと言う。

「え？何が？聞こえない。」

和「どういう事かって聞いてんだよ！」

智「ニノ！落ち着け！」

今にも殴りかかりそうな勢いのニノの腕を引っ張って止めるリーダー。

翔「早希さん？Aちゃんに…松潤の彼女に一体何したんですか？」

翔くんが冷静に聞く。

「私…・・・。」

早希が話す事実をただただ他人事の様に聞いていて…。

「潤に特別な気持ちがあった訳じゃないの。ただ…自分は旦那に浮気されて惨めなのに…あのコはすごく大事にされていて…すごく羨ましくて…。同じ女なのに…どうしてこうも違うのかって…。だから私がされた事を…。」

和「あんた、何してくれてんのさ！」

「悪かったと思ってるわ。でも、そんなに怒らなくても『Aちゃん、行方不明ですよ』」

智「それ聞いても…『悪かった』の一言で片付けるんですか？」

「…え？行方不明…？」

早希の声が小さく震えた。