今日…僕は恋をした Part.５ (ページ12)

今日:24 hit、昨日:14 hit、合計:402,402 hit

１７２：心当たり～J～ページ12

「A？！」

息を切らして乱暴に開けたドアの向こうは真っ暗で。

靴を脱ぎ捨て部屋に入っても…
Aの匂いはするけど…Aはいなくて。

「…どうして？何でだよ…。」

足の力が抜けてズルズルとその場にしゃがみ込む。

「…んでだよ……A…。」

涙声の自分の情けない声だけが響く部屋から、暫く動く事ができなかった。

・・・和「J？その後…。」

楽屋に入ると聞きにくそうに…
でも自分の彼女の事もあるし、聞かざるを得ないニノは遠慮がちに声をかけてくる。

それには、ため息と首を振るだけ。

そんな俺を四人が心配そうに見つめる。

…Aが俺に別れを告げて、行方がわからなくなって…

…もう一週間。

相変わらず部屋に帰ってる形跡も無くて、電話は電源が落とされ…メールはアドレスが変わってる。

ニノの彼女にも連絡は無くて、俺が別れを告げられた日に、

『落ち着いたら連絡する』

とだけメールがあったらしい。

彼女も心配してくれて会社に行ってくれた。

だけど…受付にAはいなくて、

『中山は先週付けで退社しました』

と淡々と返されたらしい。

俺には別れの理由は全くわからなくて…。

一方的に電話で、

『…別れて下さい。ごめんね？』

って言われて切られた。

翔「でもさ？部屋がそのままだったら、絶対そこに帰って来ると思う。」

和「あぁ…俺もそう思う。」

「俺さ…ちゃんと面と向かって『別れよう』って言われるまで諦めないよ。てか…受け入れらんねぇ…。」

…ダメだ…目頭が熱くなって声が震える。

智「…理由も告げずじゃね…諦めらんないよね。」

雅「ねぇ…本当に心当たり無いの？」

「あぁ。上手くいってた…はずなんだよ。」

そう、別れを告げられる一週間前までは上手くいってた…はず……？

そこで初めてハッとする。
あの夜…。

Aが俺を見てくれてなかった夜…。
けど、次の日はちゃんと応えてくれて…。

…わからない…わからない事だらけだ…。

頭を抱える俺の肩をポンと叩いたのはリーダーで。

智「大丈夫だよ。きっと戻ってくる。」

和「おっさん？」

智「Aちゃん信じてあげな。」

ふにゃふにゃ笑って言うリーダーに、なんだか泣きそうになる。

和「明日美にも探させてますんで。」

「ごめん。迷惑かけて…。」

俺がそう言って頭を下げた時…

楽屋のドアが二回ノックされた。