今日…僕は恋をした Part.５ (ページ1)

今日:39 hit、昨日:14 hit、合計:402,417 hit

１６１：虚しい… ページ1

『信じてる』

…って言うのもおかしい気がする。

そもそも潤くんは浮気する人じゃないし…彼女が勝手に言ってるだけ。

潤くんはきっと…浮気じゃなくて…
本気になる人だから、そういう事になったら、まず私に別れを告げるだろう。

潤くんが私に注いでくれる惜しみない愛情は、嘘偽りなんかなくて…真っ直ぐ純真だ。

『Jは本当に純真な男だよ？今時珍しいくらい』
って二宮さんが言ってたって…明日美が教えてくれた。

だからこそ…大河に縛られて動けない私を助ける様に頼んだと…。
潤くんなら大丈夫だと思って、私の家を教えたと…。

「…A？どうした？」

私の身体を揺らしていた潤くんが、私が集中してない事を感じ取ったのか…動きを止めて頬を撫でる。

「ん？」

「…いや…なんか…いつもと…。」

「…そ？同じよ？……ねぇ？」

「…うん？」

顔を強張らせて、身構える潤くん。

そんな潤くんを見て…

あぁ…私って潤くんを不安にさせてるのかな？
なんて思ったけど…正直…自分でいっぱいいっぱいで…。

「…A？」

「…ギュッてして？」

そう言うと、これ以上ないってくらい私をキツく抱きしめてくれる。

「A…好きだよ？大好き。」

っていつもの様に優しく髪を撫でながら、耳元で囁いてくれる。

…今、この瞬間の潤くんは…

万人向けた雑誌・テレビの潤くんでも…

ライブで七万人幸せにしちゃう潤くんでもなくて…

私だけの潤くんで。

けど…私だけが知ってる潤くんじゃ…ない。
早希さんも知ってる潤くん。

早希さんだけじゃなくて…過去の…彼女…達。

過去は過去で…書き換える事はできない。

私の中の大河ごと受け止めてくれた潤くんと同じ様に、私も…受け止めないと…。

過去があってこそ、今の優しい潤くんで。

何万人っていう人がこの人に憧れていて、私はその人の身体も気持ちも独り占めしてるのに…

どんどん欲張りになる。
そんな自分が…醜くて…嫌になる。

「…今日は…やめとこう。」

そう言って、私の上から離れた。

「…え？潤くん？」

「…俺を見てないAを抱いても…虚しいだけだ。」

私に背を向けたまま、冷たくそう言うとベットを下り寝室を出て行った。

潤くんの寂し気な背中を見送るしかできなくて…。

ただ…ただ…涙を流すしかできなかった。